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Fさんと道東釣り道中 2 西別川

 朝、小雨が車の屋根を叩く音、目が覚めて見るとどんよりとした雲なのか霧なのか。予想はしていたとはいえ、朝からすっかり意気消沈、まずはのんびり観光と行くかと釧路市内に向かう。
 いつもなら将来高速道路になるはずのバイパスを使うのだが、今回は久しぶりに釧路の市内を通っていくことにする。以前はいかに早く釧路の市内を抜けるかということばかりを考えていたものだが、このバイパスができて以来、釧路市内の道路の様子が分からなくなってしまった。いいのだか、悪いのだか複雑な気持ちだ。
 地図を頼りに幣舞橋へ、ここはこんなロータリーになっていたんだっけ、さらに春採湖に向かって車を進める。自分の記憶にある春採湖は幼い頃溺れていた所を見知らぬ人に助けてもらったということだけ。多分近くの幼稚園に通っていた途中の出来事だったのだろうが、そのすぐそばの竹老園のことも記憶の片隅にある。

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 標識に従って割とすんなりと春採湖畔にたどり着いた。駐車場やトイレなどもあって一時期随分整備されたようだが、設備そのものは古くなっていて今はあまり使われていない感じだった。

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 湖畔をぶらぶら歩いてみるが、小さいころの記憶を思い起こさせるような場所はわからない。たまたま散歩していた人にボート乗り場がなかったか聞くと、ずいぶん昔にはあったが、今ではなくなって杭だけが残っているという。確かに教えてもらった場所を見ると朽ちた何本かの杭がわずかに水面に顔を出していた。

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当たり前だが年月の移り変わりが感じられる。湖岸の大きな建物を見ると閉校した小学校だった。門に残っていた校名を見てびっくり、なんと自分がほんのわずかの期間在学した小学校だった。立派に改築された後の閉校、それでもまだ建物が残っているだけいいのかもしれない。

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 さて近くに自分が生まれた場所があるはずだがと、車で巡ってみるとそれらしき地形の中に新しい建物が立っていた。確かこの辺りのはずだがもうそれを確信すべき何物もない。それでもなにがしかの面影を感じられただけでもうれしかった。
 さてこの後はどうしようか、せっかく来たのだから厚岸の街まで足を延ばして見ようか。いつも通り過ぎるだけでよく見ることのなかった街を改めて見て見るのも悪くない。
 とにかく一刻も早く目的地に着くことばかり考えて走っていた国道44号線を、今回はのんびりと走らせるのもし新鮮な感覚だ。厚岸の道の駅まで行って厚岸産のウィスキーを探したのだが、まだ原酒が少ないのか売っていなかったのが残念だった。
 厚岸大橋を渡って国泰寺跡へ。この橋を渡るのも初めてで、橋からざっと厚岸の港が見渡されるのも不思議な感覚だ。名前だけは以前から聞いていた国泰寺跡を訪ね、しばしこの北海道の歴史に思いを馳せた。

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 そのあと海事記念館という不思議な名前に惹かれ、訪れた頃には待ち合わせの時間まで1時間半ほど、車で走る距離を考えるとそろそろ厚岸を出発しなければならない。もう少しじっくりみたかったのだが。
 どこまでも広々と続く牧草地帯を通って虹別の街へ向かう。もうすっかり札幌生活が長くなってしまった自分にもなじみの光景になって来た。


 予定の時間の少し前に虹別の街に着くと、Fさんから電話、どうやら少し急ぎ過ぎたらしく、危機的な国庫に余分な税金を支払っうことにんったらしい。
 少し遅れて、ちょいと恥ずかしそうなような、悔しそうなようなFさんが現れて早速釣り場に向かう。西別川と言えばまずは訪れる場所。
ここの鱒たちの反応は音別川程は早くはないであろう。多少の藪を漕いでたどり着いた西別川はいつもと変わらず、ひんやりとして流れていた。その冷たさのせいか水面にはうっすらと靄が掛かっている。さすが、摩周湖の伏流水を水源としているという西別川だ。

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 しかし早速釣り始めるがいつものようにすぐに入れ掛りという訳にはいかず苦戦する。ここも魚が小さいのか、すれているのかなかなか鉤掛りしないのだ。前はもっと素直に釣れたのだが、ここもか?そんな思いでいるとFさんが呼びかけた。今デカい魚がはねたという。Fさんの話によると、並の大きさではなくサクラマスではないかという。ちょっと投げて見ろというので、十分慎重に近づきながらキャスト、そんなデカいのが来て果たしてこの場所で取れるだろうか、そんなことを考えながら一投、二投するが反応なし。怯えさせてしまっただろうか。それとも魚はやはりサクラマスでもう餌は取らないのか。さらに周辺も含めて流して見ても小さな魚でさえ反応なし。いつもなら結構な数の魚が反応する場所なのだが。
 後に付いてきてとFさんに言って、その場を後にして上流に向かう。しかし例年のようにいい反応が得られない。というか自分の記憶がいいことしか覚えていないのか。小さなヤマメやイワナが釣れただけだった。

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 その後も相変わらずいい反応が得られず、Fさんもついてこない。また一か所で粘っているのかと思って戻ってみると、まだ最初の場所で釣っていた。Fさんが言うにはウェーダーが腰までなので水が入りそうで付いていけなかったとのこと。きっと駄目だろうと思いつつ、どうでしたと聞くと結構いい山女魚が釣れたと嬉しそうにいう。見せてもらうともうさびが入りかけていたが確かに20数センチというここではずいぶん良い型だ。やりましたね!というと、自分がやって駄目だった場所でいきなり出たのだという。なかなかのファイトだったらしい。

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考えて見るとFさんがドライフライで釣った魚としては一番かもしれない。今日は持って帰るというので腹を裂こうとしているので見せてもらった。中にはもう十分成熟した白子がたっぷり入っていた。尻別川ではまだこの時期はあまり見かけないのだが、やはり川によって違うのだろうか。ひょっとしてFさんが見たというデカイ魚とつがい?そんなことを思わせるほどだ。ついでに胃の中を見せてもらうと大きな黒い球が2つ、どうやらコガネムシのようだ。それに蜂の様な虫が。やはりこの時期は陸生の餌が主なのだなぁ。
 自分も少し元気が出て下のポイントを見て見る。倒木の下の泡立った流れライズが見えた。そろそろ夕方のいい時間になって来たのだろう。さっそく20ほどの山女魚が釣れる。まだライズがあるようなので再び流すとまたスポッと毛ばりが飲み込まれた。しめしめこれはFさんのヤマメ位あるかもと期待した直後、いきなり倒木の下に潜り込んだ。しまった、ニジマスか?思っていたよりもいいサイズだったのだろう、とても止められなかった。そして倒木にリーダーが絡んだのかそのまま動かなくなった。これだから西別川でいいサイズの魚を釣り上げるのは難しい。結局糸を切らざるを得ない羽目になった。
 しかしまだその場所には別な魚もいるらしくまだライズしているので、Fさんを呼んでやってもらう。すると何回か流した後ドンピシャの合わせでまずまずの山女魚を釣り上げてめでたしめでたし。辺りも薄暗くなってきたので、それを潮に引き上げることにした。Fさんは釧路の自宅へ、自分は摩周の道の駅に止まらせてもらうべく、のんびりと車を走らせた。


by kimamani-outdoor | 2020-08-04 21:40 | 釣り