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支笏湖 あの大量に浮かぶ小さな虫の集団は何だ?

  21日 今日から気温が上がるという。そろそろ虫も出始めたというので、いよいよいい時期になって来たかと支笏湖を訪れてみる。まだイトウ釣りの疲れが取れないのでゆっくりとした出発。すっかり青葉に覆われた道は陽が翳って、新緑がまぶしい。丸駒手前の駐車スペースに行くと一台車が止まっていた。人が乗っていた所を見えたので軽くお互いに会釈。どうやら早朝に釣って休んでいるところの様だった。
 湖面に向かう道もすっかり青葉に覆われ空気がすがすがしい。

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今日はさしたる戦略もなく湖に向かうと、今日もやはり湖面は静かで鏡のようだ。釣りは危ぶまれたが、こちらもいかにも気持ちがいい湖畔だ。遠くにセミの鳴き声やクマゲラの鳴き声も聞こえて、うっかりすると昔の記憶の中に引き込まれそうになる。のんびりとしたいい陽気なので、釣りの方はあまり気にしないことにする。
 さて例によってチビアメらしきライズが岸際でチャプチャプやっている。まずはこいつを片付けてやるか。足元には小さな虫が浮かんでいるのでこれを食っているのだろうと前回の時の毛ばりを結ぶ。

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 さて毛ばりに向かってチャプチャプが近づいてくる。さあさっさと沈んでくれよ。 
 ところが全く毛ばりに反応せずライズは毛ばりの周囲をめぐっていく。最初は偶々かと思ったが何度やっても同じだ。一週間来ないうちにすっかり難易度が上がってしまったか。それにしてもここまでチビアメに無視されることはなかなかない。
 そこで足元に浮かんでみる虫を確認してみると、ユスリカと思っていたらさらにずっと小さい。2、3ミリの黒いボディに5ミリほどの透明な羽。それがたくさん集まって大きく見えていたのだった。おそらくその集まっている奴をまるごと一気に飲み込んでいるのだろう。

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 こんな小さな毛ばりは持ち合わせていないし、たとえ持っていてもこの大量に浮かんだ虫たちの中で、鱒たちが選んで毛ばりを食ってくれるとも思えない。しかもその浮かんでいる虫の数はどんどん増えてきているようだ。
 それでも間違って食ってくれはしないかと思って、むきになって同じ毛ばりを投げ続けていると、一瞬近くの水面が盛り上がって、そのまま静かになる。食おうとして止めたのだろう。こりゃ駄目だ、そのうちピチャピチャも遠ざかって行ってしまい途方に暮れてしまった。
 少し他の場所の様子を見るかと岸際を移動していくと、またここでもピチャピチャ小さな波紋が上がっている。するとたくさんの小魚の群れが泳いでいく。これは何かの稚魚か、それともトゲウオだろうか。
 先を見ると帯状に虫の一群が漂っているのが見える。そしてちょっとした岬の辺りでは届きそうなところで時折まだライズが起こっている。ピチャピチャしたライズのほかに、パシャというライズも起こっているからこれは別なものを食べているのかもしれない。

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 ここはもう中途半端な小さな毛ばりでの釣りはあきらめ、思い切って全く別な毛ばりを試してみよう。全く水面には見えないが、甲虫系の毛ばりを試してみる。仕舞には全く関係なさそうなカディスのフライを浮かべてみると、勢いよく毛ばりに飛沫が上がった。やっと来たと思って合わせると小さな重さ。チビアメ君だった。

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 こんなに釣るのに苦労するとは。たまたま出会い頭に食ったのだろうか、その後も飛沫が上がるライズがあるので、明らかに違うものを食べている感じだった。果たして何に対するライズだったのだろう。その後何度もそのライズを狙ったのだが、再び毛ばりに出てくれることはなかった。そのうちライズも静まって来たのですごすごと退散する。
 車まで戻ると陽射しの中に、蚊柱のようにその小さな虫が飛び交い、フロントガラスにはおびただしい数の、その小さな虫がへばりついていた。


 翌日は、昨日の反省に基づいて、あまりライズに振り回されずに狙ってみようと、少し早めに再び同じ場所を訪れる。途中、運転中パラパラと音がして、到着してみるとフロントガラスに昨日の虫がたくさん付いている。あんな山中まで飛んできているのかと驚く。車が一台止まっていて既に釣っている様子だ。準備をしていると更に一台。年配のルアー釣りの二人組で話をしてみると、「よく来てますね」の一言に恥ずかしくなる。車で分かったらしい。最近魚が岸寄りしてきたようなので来たという。聞くと釣ったのはニジマスやサクラマスが多いという。サクラマスがいるということはヤマメもいるということだろう。どちらも釣ったことはないが、一度お目にかかりたいものだ。
 ということで今日はじっくり狙ってみるかと湖岸に出ると、今日もまた鏡の様な静かな湖面。遠くにフローターが二つ浮かんでいる。最初の車の持ち主らしい。 こんな穏やかな日はフローターも気持ちよさそうだ。その辺りには薄茶の帯が漂っている。たぶんあの小さな虫がびっしり浮かんでいるのだろう。

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 果たしてピチャピチャライズはずいぶん遠く、狙いたくても狙いようがない。これであきらめもついて、今日は初めから蜂の毛ばりを使ってみることにする。
 この静かな湖面ではやはり浮かんだティペットの筋が見えて気になるなぁ。何とか隠すいい方法はないものかといつものように悩む。
 全く反応がないので以前から考えていたドライフライとウェットやニンフのドロッバーを試してみることにした。まあ要するにドライフライを目印代わりにしようという魂胆である。ところがやってみると渓流と違って、飛ばす距離が長いものだから、やたらとドロッバーが絡んで役に立たない。やはり二兎を追うものは・・・ということか。
 再びドライフライだけに切り替え、昨日釣った場所へ移動する。それにしても今日はピチャピチャの一群のライズが遠く、他のライズが見られない。あの小さな虫たちでもあれだけたくさんいるのだから、それでもう鱒たちは十分満腹なのだろうか。毛ばりがいつまでもむなしく浮かんでいる。セミの鳴き声が辺りに響き渡って、次第に気温が上がって初めて上着を脱ぐ。この何事も起こらないけだるい感覚は、いつも釣れない初夏から盛夏にかけて、日中の、どこか懐かしい感覚だ。また今年も支笏湖の夏が戻ってくるというような。これはこれでまた良いではないか。
 今日は手の打ちようがないかと引き上げていくと、湖岸にももうあの小さな虫の蚊柱の様なものが湧き上がっている。雪虫が大量発生した時によくあるが、開けると口や目に入ってきそうだ。

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 いったい湖全体でどれくらいの数がいるのだろう。虫の出現を待ちわびてはいたが、まさかこんなことになろうとは。長い支笏湖通いの日々の中でも、自分にとっては初めての体験だった。
 帰りにオコタン湖までの道のゲートが開いていたので行ってみると、雪の残った新緑の山の底に青い水が湛えられて美しかった。オコタンキャンプ場までの道はもう通れることはないのだろうか。

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by kimamani-outdoor | 2018-05-22 11:45 | 釣り