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イエローストーンへ (五)  1989  ギャランティン川

 7日 ギャランティン川に入る。ボーズマンからウエストイエローストーンに来るときに道沿いに流れていた川だ。だから入渓しやすい川だ。ただ一つ注意しなければならないのは、この間の一部がイエローストーン公園の内部にあたっていて、そこで釣りをするのにはイエローストーン内のライセンスが必要なことだ。自分はそれを知らずに釣りをしようとしたら、パークレンジャーに罰金を科せられそうになったことがある。その時の雰囲気は厳しく言葉も良くわからない日本人であるという甘えは通用しなかった。
 前にも書いたがこの川は映画「リバーランズスルーイット」の舞台になった場所と聞いたが、映画の公開は1992年ということだから、まだこの時点では撮影されていなかっただろう。映画に映し出された通りの美しい川で、流れだけ見ていると日本の中規模程度の川、尻別川でいうと喜茂別から京極の間ほどの流れだ。河原をのんびり歩きながらピクニック気分で景色を満喫するにはもってこいの場所だ。

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 ところがその時の自分はとにかくアメリカまで来たのだから少しでも大きい魚を釣りたくてたまらない。この規模の川でそんな大きな魚はいないので、というのが正直な気持ちだった。釣っていても、いつもマジソンへ行った方が良かったかなというような気持ちが心のどこかにあった。
 魚のいそうな場所を狙ってのブラインドの釣りをするのだが、釣れてくるのはせいぜい20から25の小さなニジマスばかりだった。アメリカまで来てこのサイズはなぁ。とても景色などのんびり楽しんでいるゆとりなどなかった。

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 自分ではわからなかったが、その後何度か大物を逃したようだった。渡辺さんは少し小高い所から見ていて、大きい魚が付いているのが見えたそうだ。

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 ある場所では川岸の深場のところを渡辺さんが土手の上から覗き込んで、いいサイズの魚のライズを見つけて、下流にいる自分に、この辺りに毛ばりをキャストしろというような指示を出す。いわゆる二人でのストーキングでの釣り方でよくガイドがやるやり方なのだが、その時は自分にとって初めての釣り方なのだ。ライズも毛ばりも良く見えない。渡辺さんは大きいのが鼻づらだけ出してゆっくりとライズしているというのだが、そんなライズは今まで見たことも無かった。本当にそこに居るのかというような疑心暗鬼の状態でキャストしていたせいか、なかなかうまいところに毛ばりは落ちなかったようだ。そしてそのうち魚を散らしてしまったようだった。慣れていないせいもあったのだろうが、自分の力だけでできないこういう釣り方は苦手だ。
 その後のガイドとの釣りではよくこういうことが起こった。なかなかガイドの意図が飲み込めずにお互いの信頼感が揺らいでしまう。大体は魚が釣れると解消されてしまうのだが。これはガイドとの釣りでは大切なことで、このことについては別にどこかで書きたいと思う。
 結局それで終わってしまった悔しい1日だった。本当に大きな魚がいたのか、自分にはいま一つ確信が持てなかった。それよりもっと美しい景色を楽しむような余裕を持てれば良かったのかもしれないが。
 (実は後年に再びこの川に訪れた時に大物を釣り逃がしたことがあり、大物の存在を知った。その時出会えなかったのは、単に自分の釣り方と川に対する確信が持てなかったためだということがよくわかった。)

by kimamani-outdoor | 2017-02-14 12:08 | 思い出の釣り