やっと冬至も終わり日没の時間の方は少しずつ遅くなってきているが、日の出の方は一月初旬まではあまり変わらない様だ。気の早いことだが、陽射しが少しでも強くなっていくのが待たれる日々である。

 もう一つの初めての体験、現地ガイドとのマジソン川をボートで下る方だが、釣りそのものよりも、ガイドと二人きりで片言の英語で果たして会話が成立するのか、というのが一番大きな不安だった。今にして思うと青山さんがこのようなセッティングをしたのは、たぶん現地ガイドを雇うことで、現地ガイドとの摩擦を少しでも解消しようという配慮もあったかもしれなかった。それ以後の記憶が混じるかもしれないが、ここからはガイドとのマジソン川下りのことを、思い出しながら書いてみたいと思う。

 確か待ち合わせの時間は8時過ぎだったように記憶している。釣り人のリクエストなどもあるのだろうが、何も言わなければ大体この時間だ。場所はバドリリーズという釣具店。ちなみに最近この釣り具店のホームページを見たところ、経営が変わりビックスカイアングラーズという名前になったようだ。ガイドの欄を見ると以前お世話になったガイドの名前も見える。この街の老舗の釣具店といえども様々な消長があるようだ。
 大体この地域の釣具店は、釣り具の販売とともにガイドサービスも行なっている。その当時の料金で一日200ドル位で、それでも随分高いと思ったが、今は550ドルとなっているから驚くほどの高騰ぶりだ。二人で折半してやつと何とかという額だ。

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当時のバドリリーズのリーフレット 左はマジソン川 右手に川下りの写真が載っている

 自分はいつも旅行会社を通しているので直接店で予約したことはないが、当然のことながら様々なタイプのガイドがいて、自分の好みのスタイルの釣りをするガイドを指名する、というのが一般的なやり方なのかもしれない。けれどもそんなことはまだ知る由もなく、とにかく誰であれ、現地のガイドとともに釣るという体験そのものが新鮮だった。 
 その時のガイドの名前は残念ながら忘れてしまったが、自分のこの地域のガイドの一般的なイメージは、大きなマグカップにコーヒーを啜りながら、随分使い込まれたというか、もうポンコツと言ってもいいようなアメリカの排気量の大きな4WD車に、トレーラーでボートを引っ張ってやって来る。日本の様なピカピカに磨かれたRV車などほとんど見かけなかったと記憶している。
 タックルは5番の竿を持っていたが、ティペットや毛ばりはガイド任せ。たぶんティペットはマジソン用に、しっかりしたものに付け替えていたのだろう。場合によっては番手の大きい竿を貸してくれることもある。ガイドが用意していた竿はセージのものが多かったが、それらもかなり使い込まれていて、リールは付けたまま(オービスのものが多かったか)、乱雑というか無造作にボートに置かれている。一式借りて釣ることもできるのだろう。その時の自分としては、セージの竿やオービスのリールといえば手の届きがたい高価なもので、大切に磨いて飾ってでもおきたいようなものであったのだが。
 なかには自分の日本の竿やリールを興味深げに眺めるガイドもいた。日本では何でも作っているのに、なぜラインは作らないのだと聞かれたこともあった。
 一日ガイドを雇うと昼食が付く。ガイドが途中で店から注文したハンバーガーを受け取り、大きなクーラーボックスに飲み物と一緒に積みこんで出発する。土地柄なのか、乾燥した空気に冷えたビールやソフトドリンクがうまかった。

 これは後でわかったことだがボートで下るのには大きく2つの利点がある。
まずはあまりナチュラルドリフトを気にしなくて良いことだ。なにせボート自体が流れとともに下って行くのだから、毛ばりは黙っていてもボートともに自然に流れていくのである。あとはポイントの上流に毛ばりを落とせさえすればいいのだ。ほとんどフライをやったことのない子供でも、ボートから錘を付けてニンフを垂らしていれば、あとは毛ばりは勝手にボートともにナチュラルドリフトするのである。


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 聞けば全くフライ経験のない親子連れがレジャーでやって来ることもあるのだという。そんな子供にも釣らせなければ、親から苦情を言われるのがガイドの仕事だ。それに比べればわざわざ日本からやって来るようなフライフィシャーマンは、言葉が多少できなくとも、あまり文句も言わず(言えない?)手取り足取り教えなくて済む分、扱いやすい客であるらしい。

 もう一つは好きな場所で釣れること。他の場所でもそうだと思うが、マジソン川周辺はほとんどがプライベートな牧草地だから、勝手に入ることはできない。加えて川への公共のアクセス自体が限られているから、ボートでなければ行くことができない場所が多いのだ。
 自分としては後者の利点の方が大きい。ボートに乗りながらポイントを流すのは本当にあっという間のことで、もう一度戻ってキャストし直すということができず、名残惜しく通り過ぎることが多かった。それならいっそボートはあくまで移動手段として、ボート以外では入れないような良いポイントで降りて、そこからウェディングしてじっくりとポイントを探るという釣り方が好きである。
 ただ実際にこのマジソン川を下っての釣りでは、ボートを降りての釣りはあまり多くはなかったように記憶している。もっとしっかりガイドに釣りたい釣り方を含めて、自分の好みをきちんとリクエストできればよかったのだろうが、最初のガイドとの釣りで、しかも英語では難しかっただろう。

 ボートの降ろす場所と回収する場所は整備されていて、車をバックで川に荷台を浸からせ、ボートを滑車を使って川に降ろしたり回収したりする様子は、支笏湖のチップ釣りのボートを揚げ下ろしている姿と同じだ。
 さて実際にこのマジソン川を下ってみると、なかなかボートをうまく操るのは大変そうだ。流れが荒々しいうえ、その場所ごとにうまくポイントを流せるように誘導しなければならない。それをすべてオール一つで操らなければならないので、ガイドの腕は鍛え上げられている。
おまけにのライントラブル解消やフライ交換まで対処しなければならないのだから苦労も多いだろう。

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 心配した会話はそれほどでもなかった。実際釣りが始まれば、行き過ぎ、短い、近いなどのキャストする場所を指示する言葉があるくらいだ。根掛りだとmossとかsnagとか言っていた。フライのチェンジや糸がもつれた時はガイド任せの大名釣り。もっと深い突っ込んだ話をしたいのに、言葉が出てこなくてもどかしい思いをしたこともあったが、そんな時のために、後にはコンサイスの和英辞典をもっていって、恥ずかしがらずにその都度調べることにした。
 その時の釣りで覚えているのは、少し下流にドライフライを流していた時、突然水面が割れて、飲み込もうとしているいいサイズの魚の口が開くのが見えた。思わず来た!と慌てて合わせしてしまったこと。宙には毛ばりがむなしく漂っていた。
 また、ニンフを流していた時突然ものすごい勢いで毛ばりを持っていかれた。荒々しい流れに魚の重みが加わって、あっという間にラインを引き出された。てっきり素晴らしいブラウンがかかったと思った。ガイドはアンカーを下ろしてボートを止め、川に飛び降りボートにつかまりながら、ラインの先までウェイディングして魚を取りに行ってくれた。ところが急にがっかりしたように顔をしかめ一言「ホワイトフィッシュ」。それは大きなホワイトフィッシュだった。自分にしてみればそれでも凄いパワーだったのであっけにとられたのだが、ガイドにしてみれば鱒でなければ意味がなかったのであろう。その後も随分ホワイトフィッシュは釣れたと記憶しているが、その都度がっかりしたガイドの記憶が残っている。ウグイと同様毛ばりを沈めるとよくかかるらしい。
 昼食はボートをアンカーで岸辺にとどめて川岸で摂る。ハンバーガーと言っても、二つに割った大きなパンにバターや辛子を塗って、その場で好みに応じてビーフやターキーの肉やら野菜を挟んで食べる簡易なものだ。その間の会話は、どれくらいここで釣りをしているのかとか、好きな川はどこかといった、せいぜい中学生程度の会話を何とかつなぐ。もっと自由に会話ができたら、とは後に思ったことだ。
 たまにガイドも見本を見せてくれたりするのだが、こちらはあくまで見様見真似の独学。それに対してパワフルにビュンビュンと竿を振る姿はさすがだと思わせてくれた。
 終了は5時頃だったろうか、これがガイドの通常の勤務時間といったところだろうか。案内書通り通常金額の15%の30ドルを、別れ際になんとかさりげなく渡せてほっとした。あまり慣れないことに変に緊張したのを覚えている。場所によってはもっと遅くまでサービスしてくれることもある。そんな時はもっとはずまなくてはならないのだろうが、その頃はそんなことまで考えが回らなかった。
 サマータイムなのでこの時間は日本でいうと、まだ午後3時頃の感覚だ。ガイドや釣具店の人たちはこの時間からが個人的なフィッシングを楽しむ時間となるとのこと。結局その情報がまた客に還元されることになるのだが。

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 この時果たしていいサイズの鱒が釣れたのか記憶にないが、写真の残っていないところを見ると、たぶん釣れなかったのだろう。ただ現地ガイドとの初めての釣り、そして川を下りながら釣るという新しい体験はなかなかスリリングではあった。

 もう一つの大きな体験は、前年はただ川を見ただけで終わった憧れのヘンリーズフォークで、数時間だが初めて釣りをしたということ。ラストチャンスの町の有名な釣具店ヘンリーズフォークアングラーズで、アイダホ州のライセンスを初めて買ったのであろう。マイクローソン氏の英語はモゴモゴといった感じで、なかなか聞き取れなかった。日本でいうと地方の方言やなまりのようなものだろう。当時日本の釣り雑誌によく紹介されていたのは、このラストチャンス付近の流れである。
 その時は同じくこの地に大宮市から釣りに来ていたHさんとご一緒させていただいた。その後も何度かこんな日本から離れた地でも、日本の釣り人の方と出会う機会があったが、知らず知らずと緊張していた身としては随分心強く感じたものだ。

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                   Hさんと青山さん。場所によっては、これくらいの水深で川を渡ることができる。   


 1989年の釣りの時にも書いたのだが、この辺りはフライフィッシングオンリー、キャチアンドリリース、当然のことのようにバーブレスフック推奨、そして季節ごとに羽化する水生昆虫のリスト(ハッチチャートなるもの)が確立されていて、まさにフライフィシャーマンのためのような川である。
 ロッキー山脈の湧水を水源としながら、このラストチャンスの辺りでは幅広くゆったりと蛇行して流れている。しかもほとんど砂地の様なフラットな川底で大体対岸まで渡ることができる。水中には美しい藻が漂い、この藻が水面で微妙な流れの変化を作り出している。

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ラストチャンス付近の流れ

 水生昆虫の羽化が始まるとおびただしい量のカゲロウが水面を流れ、川のあちらこちらにライズが起こるので、それを探しての釣りの釣りになるという。多少小高くなった川岸から川を眺めライズを探すのだが、慣れて来ると波紋の様子で魚の大きさがわかるのだとのこと。ライズの中から大きいサイズの魚のものを見分けて、キャストするのだというが、そんな風に釣るのかと後から知って感心した次第である。
 その時は確か大物のライズは見つけられなかったが、それでも小物のライズはあったようだ。そんな魚を相手にしながら、日本の川でのようにむきになってやみくもにキャストしていたはずだ。釣れたかどうかあまり記憶がない。釣れたとしても小さなものだったはずだが、それでもヘンリーズフォークで釣りをしたという変な自負だけは残ったのだろう。本当は20インチ(50センチ)前後の魚が釣れて、初めてヘンリーズフォークで釣れたと誇らしく言えるらしいのだが、そんなことはまだまだ遠い夢の様な話だった。そんな中でも写真を見ると青山さんの釣った姿があるので、しっかりと手本を見せてくれたのであろう。この短い時間でこのサイズを確実に釣り上げるのは、今更ながらさすがだと思わせてくれる。


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  ブログに訪れてくれて有り難うございます。みなさんどうぞ良いお年をお向かえ下さい。
  みなさんにとって来たる年が、より良き年になりますように。

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# by kimamani-outdoor | 2017-12-26 17:50 | 思い出の釣り | Comments(0)

 ラニーニャ現象やら黒潮の蛇行やらで例年にない冬の訪れの早さだと言われると、さすがに釣り場を訪れるのも億劫になる。もう尻別川の河岸はすっかり雪に覆われていることだろう。それでももう一度くらいは釣りに行けないかと相変わらずの天気予報とのにらめっこ。
 辛うじて14日は真冬日ではないらしい。それでもやっと平年並みの気温だという。この日を逃してはもう今シーズンにはチャンスは訪れないかもしれないと出かけることを決意する。「決意」である、もう気楽にちょっとという気分ではない。
 珍しく暗いうちから出発することにする。何も気合を入れて早朝から釣るというのではない。冬道の怖さが身に染みている自分としては、中山峠での朝の車の多さを避けたいのである。峠を後ろからせかされて運転するのが辛いのである。
 ということで久しぶりにまだ暗いうちから車を走らせる。といっても夏場ならもうすっかり明るくなって、釣りを開始していてもよい時間なのだから季節の変化とは大変なものだ。昔の人が冬至が来て太陽の復活するのを祝ったという心情が偲ばれる。
 さずがに車通りは少なく、のんびりと運転していてもいらいらされる心配もない。今日は0℃を越えるということで、体にこたえるようなしばれも幸いにして感じない。けれどもその分せっかくの峠の景色も闇の中という訳だ。
 なんとかさしたる危険を感じることもなく峠を降りると一安心、喜茂別の街は除雪の時間だ。ようやく開け始めた藍色の空には白い羊蹄の姿が浮かび上がってくるが、中腹から上は雲に隠されている。真狩で水汲みする手も冷たい。
 少しまだ早そうなのでニセコの街中を見ていくと、こちらもまだ除雪の真っ最中。街中のうず高く積まれた雪山を見ると、これでスキー場でもなければもうすっかり冬に閉ざされた街という雰囲気の佇まいが漂う。

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 やっとのことで蘭越付近の尻別川にたどり着いたが、もう車を止める場所もなかなか見つけられない。仕方なく車通りの少ない幅広く除雪された路肩に駐車して準備。釣り場までウェーダーを履きネットをぶら下げて道路を歩いていくが、車が通るとなんとも恥ずかしい。除雪されたばかりの道路はテカテカで転びそうになる。
 いよいよ川へ、ホームセンターで買ってきたプラスチックのかんじきを装着してみるが、慣れないせいか多少面倒だ。雪上を歩いてみると外れなくていいが、裏に布地が張られていないので、その分耐久性はあるのだろうが、少し沈みがちなのが難点。それでも全くないのとは随分な違いなので有難い。
 やっとのことで川にたどり着くと、水量は通常というよりやや少なめか。透明度もまずまずと言っていいほどだ。さてこの場所はまだ今年は一度も当りがないが、例年だとこの時期に釣れている、今度こそはと期待する。

 
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 ただ水に入るとジンジンと足先に冷たさが伝わって来る。この感覚は久しぶりだ。もっと厚手の靴下を履いてくるべきだったか。幸い手の方は冷たいが、凍えて糸が結べないほどではない。ガイドも凍ることはなく、いつものようにラインが伸びていく。けれども沈め方を変えたり、流す方向を変えたりしてみてもなかなか魚信がない。結局最後の所までやり終えても反応なし。やはり今回も駄目だったか。今度は錘を付けてもう一度流し直してみるが結果は同じだった。昨年までと何かが変化したのか? もうこの場所は止めた方がいいのかもしれないとまた思う。
 あきらめて別なポイントへ移動開始。もう一度かんじきを履き直して雪漕ぎをするのがなかなかしんどい。何とかたどり着いて今度はまた外す。慣れてはきたが面倒は面倒だ。この場所は前回大きくはないが一本釣れている。果たして今度も釣れてくれるか。

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 さあ夢よもう一度とばかり、下りながらじっくりと流して攻める。ここは前回釣れた場所、ここは前々回釣れた場所、と多少の期待を込めて流していくがやはり反応はない。魚がいないのか、もうこの寒さで活性が低いのかどちらなのだろう。それでもこの辺りは海も近く、下流にもうダムもなく直接につながっているのだからと、最後までと流し続ける。けれど一度根掛りして毛ばりを取られたきり、全く反応はなかった。やはりシーズンはもう終わったのかなという思いが湧き上がってくる。前回よりも早い時間から始めたつもりだったが、雪漕ぎや、むきになって何度も流したたせいで結構な時間になってしまった。

 いつの間にか空には晴れ間が見え始めている。さて次はどこに行こうか、この当りの無さに下流域の別な場所を、という選択肢は考えられなかった。まだ試していないニセコ付近か、あの撮り逃がした中流域の別な場所にも行ってみたかった。けれどニセコ付近はあの雪山を目にしては川にたどり着くまで大変そうだし、中流域も気温も水温も低くそうでもっと条件が悪そうに思えた。結局まだあのようなサイズがいるかもしれないという期待が勝った。どうせ釣れないのなら未練を残さない方がいいか。ということで中流域まで車を走らせることにする。
 幸いにして朝方凍っていた路面は気温が上がったのか、かなり融けていて移動はずいぶん楽だった。けれどいつもの入渓口にはこちらも駐車スペースがない。またしても路肩の小さなスペースに止めさせてもらって雪漕ぎだ。覚悟はしていたけれどやはりしんどい。こんなにしてまで釣りに来なければならないのか、というような気持ちまでも込み上げてきて苦笑する。

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 やっとの思いでシーズン中よく来た場所にたどり着くと、こちらも予想通り水は少なめだった。それでもこんな冬でもちゃんと水は流れているのだなぁと妙な感慨が湧き起こって来る。

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 さあまだ陽射しがあって暖かい時を逃さず釣り開始。青空と雪と流れる水の組み合わせが新鮮で美しい。こんな釣りの光景もなかなか乙なもんだ。
 流れのある部分から次第に深いトロ場にじっくり流していくがやはり反応はない。最初は大物をと思っていた期待もしぼみ、どんなに小さくてもいいから釣れてくれないかなぁと変化する。

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 そろそろポイントも終わりかけ、まぁそうだろうな、でもここで釣りができたのだから、釣れなくても悔いは残らないだろうと、自分を慰めながら竿を振っていると、ラインが止まる。うん?何かが引っ掛かったかと思って合わせると揺れ動く。ひょっとして魚か!と思うと、間違いなく首を振っている感触が伝わって来る。あわててとにかく必死でラインを巻き取る。お願いだからバレないで。何だ何だ、アメマスか?魚が水面に近づいて、さあ一気にと焦り過ぎて一度目はネットに入らず水中へ。外れるな、もう一度と狙いを定めてさっと掬うと、今度こそ入った。やったー釣れたぁ、釣りに来たのに実際に釣れたのに驚いた。神経を使うる冬道の運転も、寒さも、しんどい雪漕ぎも一瞬にして報われた。45ほどか、ちょっと痩せ気味だが、きれいな尾びれのアメマス君に感謝。こんな時に付き合ってくれて有り難う。


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釣り雑誌風に1枚

 気をよくしてさらにもう一つのポイントにも行ってみるか。再びかんじきを履き直して移動開始。そろそろガイドも凍り始めた。竿を流れに着けてはなんと流してみたが、そう易々と釣れるはずもなく、根掛りして毛ばりを取られるだけに終わった。
 それでも帰りの雪漕ぎは軽かった。久しぶりに山頂まで姿を現した羊蹄山に夕日が当り美しかった。

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# by kimamani-outdoor | 2017-12-14 21:14 | 釣り | Comments(4)

 例年になく寒い日々が続いてさすがに外に出るのも億劫になって来た。「釣りに行きたけれども外はあまりに寒し」だ。少し早いがそろそろストーブリーグならぬアームチェアーフィッシングでしばしお茶を濁すことにする。暖かい部屋の中で過去の釣りを思い起こしてみたい。

 昨年は書きたい内容はすぐに決まったのだが、今年はどこから始めるべきか正直悩んだ。1990年代の海外釣行となると、最初の新鮮さも無くなったのか、1999年まできちんとしたメモや記録が残っていない。ならば川や項目ごとにまとめた方がわかりいいのかとも思ったのだが、少しずつ思い出しながらでも、年代ごとに追っていくのがやはり記録らしく、少しは生き生きとしたものになるのではと思った。同じ場所が年代ごとに何度も出て来てまどろこしくも思うが。

 ということで今シーズンはまず1990年のイエローストーン釣行から書きたいと思う。この釣行は前年度の釣行での数々の忘れ物を取り戻そうという旅でもあった。ただ先ほども書いた通りきちんとした記録が残っていないので、記憶や写真などに頼っての不確かなものにならざるを得ず、かなり時の経過によって薄められ、あるいは歪められ濃淡を付けられたものになっていることをご容赦ください。
 この年のイエローストーン釣行を調べてみると記録として残っているのは航空券と数少ない写真のみである。航空券によると8月7日に成田を出発して、8月13日にウェストイエローストーンから帰国したことになっているので5日間ほどの釣行だったか。この時初めてウェストイエローストーン飛行場を使ったらしい。この空港はウェストイエローストーンの街から近くて良いのだが、小さな飛行場で初めて乗る小型プロペラ機に随分びくびくした記憶がある。またアメリカの金持ちが自家用飛行機で乗り付けるちょっと腹ただしい飛行場でもある。
 たぶんこの時も前年と同じ旅行会社を使ったはずである。形としては日本人が案内してくれる点で同じだったが、ただ案内してくれる人が青山さんという若いエネルギッシュな人に変わっていた。渡辺さんはこの年もこの地に長期滞在しながら時々顔を出してくれたが。

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ナイスガイの青山さん イエローストーンリバーでカットスロート釣りの見本を見せてくれた


 この釣りで印象に残っているのは、初めて釣ったこのイエローストーン川ネイティブのカットスロート。前年釣りたくて果たせなかった思いがやっと叶いうれしくてたまらなかった。大きな忘れ物の一つ。北海道に来た本州の釣り人がニジマスよりも、アメマスやオショロコマをぜひ釣りたいという気持ちに似ているのだろうか。

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魚の見せ方が下手ですみません


 このことについては既に、思い出の釣り、イエローストーンへ(六) 1989 で書いたので繰り返さないが、このカットスロートという美しい魚との出会いもさることながら、夕暮れ公園内を流れるイエローストーン川の美しさ、そしてその静かな流れに起こる水面のほんの小さなライズと、それを狙って流れる小さな毛ばりのシルエットが一緒になって、一つの絵となってしっかりと自分の記憶の中に残されている。

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バッファローフォード付近のイエローストーンリバー 
         人気の釣り場で、岸の上から時折カットスロートが泳いでいるのが見える


 このこと以外に今でも記憶に残っているのが、青山さんと一緒に釣ったヘブゲン湖でのガルバーフィッシング。今は日本ではフローターという呼び方が一般的になっているが、まだそういう釣りがあることすら自分は知らなかった初めての体験であった。
 もう一つは地元のガイドとマッケンジーボートと呼ばれるボートでマジソン川を釣り下ったこと。初めて地元のガイドと二人きりで過ごしたのは新鮮であり、また緊張もした一日だった。
 またヘンリーズフォークで釣るという、もう一つの大きな忘れ物を取り戻すきっかけをもらうことができた釣行でもあった。

 まずはガルバーフィッシングで記憶に残っていることを書いてみよう。このガルバーとは英語で書くとgulper 吸い込む者、飲み込む者ということでここでは鱒のことだろう。静かな水面で16番から18番くらいのTricoトライコ、Callibaetisキャリベイティスといった種類のカゲロウが羽化するのを鱒が飲み込むときの音に由来するらしい。果たして実際にそんな音が聞こえたかは自分には判然としなかったが、チャプチャプといったカゲロウを飲み込む小さな波紋の行く先を予想して、そこへ静かに毛ばりを置くといった感じの釣りである。当然湖なので果たして次の波紋がどこで起こるのかはなかなか予想しにくいのだが、それがまた楽しい。ここぞと思うようなところに毛ばりが投げられても、次には全く別な方向に移動してしまうこともある。けれど予想がドンピシャと当たって毛ばりが飲み込まれた時の快感と言ったらない。それまで自分はあまり湖でこのようなライズにお目にかかることはなかなか無かったので、本当にワクワクした。(後に阿寒湖のモンカゲロウの時期と支笏湖のセミの時期、秋口にほんのたまに出くわしたことはあったが)
 またこのフロートチューブなるものがまた楽しかった。最近の日本のフローターはオールなどもついていて、Uの字型になっているようだが、その時のものは完全に閉じて浮き輪型でまさにタイヤのチューブ状態で、移動する手段は足ヒレのみであった。この足ヒレを付けて湖に浮かぶ浮遊感と言ったらなんとも不思議な感じだ。また視線が水面に近く、水面の様子がよくわかる。スピードこそ出ないがボートなどと違って、キャスティングをしながら自分の足ヒレを使って自由に方向転換できるのがいい。ボートだと漕げば当然キャスティングはできず、結構な水音を立てて魚を驚かすことにもなる。別に操船できる人がいなければなかなか難しい。
 ヘブゲン湖はウェストイエローストーの街の近く、マジソンリバーを主とした川の流れをダムで堰き止めた湖であるとのこと。この湖より上をアッパーマジソン、下をローアーマジソンと呼んでいて、その当時よく日本人の釣り雑誌の記事で出ていたのはローアーマジソンの方だ。
 このヘブゲン湖では秋口になると産卵のため大きなブラウントラウトがアッパーマジソンに遡上するという。ぜひ一度釣ってみたいとも思うが、11月ということなのでなかなかその時に訪れるのは難しそうだ。

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ヘブゲン湖 1999年のもの


 このヘブンゲン湖に身を浮かべ、ひたすらライズを追いかけながらキャスティングを続けて気が付くと、いつの間にかもう湖の真ん中あたりまで来ていたりする。果たしてこの時釣れたのかどうか写真もなくはっきりした記憶がない。ただ釣れたとしてもフロートチューブだと写真を撮るのが中々な難しくはあったのだろうが。その後この釣りが大好きになってしまったのだから、随分楽しい思いをしたのは確かだ。後年再びこの地を訪れた時には、なるだけ予定に入れようとした釣りだった。
 この時のチューブや足ヒレは釣具店からレンタルしたはずだが、随分気に入って荷物にはなったが、この年のお土産として買ってきた。日本に戻って来てから色々なところで活躍したが、最近は面倒であまり使わなくなってしまって、暫く物置の片隅に眠ったままでいるが。



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# by kimamani-outdoor | 2017-12-10 13:23 | 思い出の釣り | Comments(0)

 連日の雪と寒さですっかり気分は冬モード、そろそろ冬ごもりとしますかとも思いつつ、多少の暖かい日がやって来ると聞けば、まだ少しはと心が動く。考えてみるともう二週間近く竿を握っていないので禁断症状も出かかっている。
 今日、天気は後半崩れるというが、気温は結構上がりそうなので是が非にでも出かけることにする。もうすっかり雪道になった道路は、暖気で滑りやすくなっているようで却って怖い。むしろ圧雪の方が走りやすい。ドライバーもすっかり雪道に慣れて飛ばし始める頃なので、あまり迷惑がかからないように、追い越してもらえるようになるべくパーキングエリアに入るよう心掛ける。
 やっとのことで峠を越えて喜茂別の町に入ると、この時間では多少の暖気が感じられる。ここまではまだまだ晴天モードで久しぶりの羊蹄山も半分だけ顔を出してくれる。


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 5号線に入るとやっと路面も融けて顔を出して走りやすくなる。ただせっかく顔を出した晴れ間はどこへやら。果たして川へのアクセスはどうであろうか。雪で入りにくくなっているのだろうか心配だ。蘭越の街を過ぎて川に着くと雪は30センチほどだろうか、歩きにくく苦労はするが無理というほどではない。気温は前回に比べると随分暖かく感じられ雪漕ぎをすると少し汗ばむほどだ。
 心配だった川の様子だが、水は澄んでいて水位は前回よりは少し低くなっていて通常の感じに戻っている。これなら十分のコンディションだろう。もうアメマスの季節になってもいい頃だがな。
 最初の場所はゆったりとした深々した流れ、いつもどれくらい深いのかわからないのだが、毎年一本くらいは出てくれるポイント。しっかりと沈めながら反応を探っていく。今日はどうだろう、今日こそはと思いながら投げては引いてくるが全く当りがない。やはり今日もか、どうして? やはりポイントが変わってしまったのだろうか。
 これからは移動するのも結構大変だ。再び雪を漕いで別なポイントに移動すると息が切れる。

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 この分ではこちらも難しそうだなと思いつつ、あまりこだわり過ぎないようにサラッと流していく。途中で今年初めて、体が白く傷ついたサケが泳いでいるのが見えた。これだから鮭を釣るのはどうもあまり好きになれない。でもこれはひょっとして吉報か。
 以前虹鱒が出たのはこの辺りだったなと思いながら流していくがやはり今日も反応なし。ここで引き上げるかと思いつつ最後まではと少しずつ下って行く。一瞬根掛りの様な反応にもドキッとする。やはりなぁと思いつつ更に流していると再び根掛りのような反応。またか?と思いながら更に引くとゆらゆら動いている。えっ魚?大きくはないが確かに魚だ。なんだろう、この動きからするとアメマスだと思うが。ラインを巻きあげリールファイトにしようかと思ったが、そんな場合じゃない、まずは外れて後悔しないように取ること。それほど苦も無く寄って来たのでさっと引き上げると斑点の大きないかにもアメマスらしい魚体。37、8といったところか。鉤は鼻先にちょこんとかかっていた。やっと下流域でアメマスが釣れた。サイズは釣れてくれたからOKだ。雪にはアメマスが良く似合う。

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 一匹いたのだからと俄然気合が入って更に流し続けるが一度当りらしき反応があったきり。
まぁ一本釣れてくれただけで十分だ。ちょいと前回撮り損ねた中流域のアメマスが気になった。夢よ、もう一度とそそくさと移動する。
 もうすっかり暖かくなって時折小雨まで混じってくる。少し天気の崩れが早いんではないか。まあその分路面の心配はないが。
 さて中流域に到着するが心配した通りアクセスできそうな場所がない。雪はまだそれほどではないとはいえ、さすがにもう車で入って行けそうにない。
 ここで指をくわえて引き返すのも悔しいのでポイントまで雪を漕いで歩くことにする。幸いにもスノーシューを積んでいたので装着してみる。なかなか沈まなくていいぞと思ったのも束の間、自分の履いていた靴がつながったタイプのウェーダーは、靴が柔らかすぎてすぐに外れてしまう。これはウェーダーかスノーシューを替えるしかない。けれどあの分割タイプのウェーダーは、この寒い中では履くのが面倒そうだな。仕方なくスリッパのようにひっかけて歩くので余計に疲れる。

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 やっとのことで前回のポイントに到着するとかなり水量が減っている。やはり雪の影響で雨がなかなか流れ込まないのだろう。これはあまりいい兆候ではないように感じられた。川岸を伝いながら歩いていくのは、こういう雪の中では逆に楽で有り難く感じられる。
 さあもう一度来いと流し始めるが、やはり前回よりはかなり水深が浅く感じられる。来たのは確かこの辺りだと緊張しながら引いてくるが反応はない。やはりそうそうはないよな、と前回のことが随分幸運であったということが改めて実感される。さらに範囲を広げて探ってみるが全く反応がない。この中流域ではもうすっかり冬モードで魚は食餌を止めたのだろうか、それともたまたま入った場所が悪かったのであろうか。こうなると下流域で釣れたアメマスの有難味が余計に湧き上がってくる。あの辺りをもっと試してみるべきだったか。でも結局この場所をやらないままでは悔いが残ったろう。
 行きはよいよい帰りはこわい。魚が釣れないと雪漕ぎの疲れは倍加する。おまけに小雨も本格的になりだした。
 いよいよこの辺りもお休みだろうか、それともまだもう一度くらいチャンスはあるだろうか。

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# by kimamani-outdoor | 2017-11-28 21:18 | 釣り | Comments(6)

 行くべきか行かざるべきか、この時期はいつも天気予報とにらめっこ。後志地方を見るとどこも雪マーク。倶知安では積雪8センチの声。気温も0から1℃だという。真冬の時期ならいざ知らず、この季節の変わり目には厳しいなぁ。とはいえまだ竿を振れる状況で行かないのも癪に障る。
 この雪で状況がどう変化したか、まあドライブのつもりで行けるだけ行ってやれと出発する。
 予報とは違い札幌は晴れ、昨夜降ったのか、木にはまだ水分の多さを物語る雪の花が咲いてきれいだ。などとのんびり行っていられたのも定山渓までだった。圧雪とは言わないまでもどこで凍っているのかわからないような道、もうすっかり冬道の緊張感だ。

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 峠を越えると予報通り陰鬱な冬の曇り空が続いて、羊蹄山の所在すらもわからない。雪も多くはないが断続的に降り続いている。脇には真っ白な雪が積もっているが、それでも道路はまだ路面が見えて多少は融けているようで、真冬の島牧行脚よりはまだましか。
 普段よりたっぷり時間がかかって蘭越付近の尻別川に到着すると、もうこちらも河岸は真っ白な雪。準備をしているとさすがに寒くて毛ばりを結ぶ手も冷たい。なかなか戦意も上がらずサラッとやって上がろうと思う。
 久しぶりに10㎝ほどの雪をかき分けて川に到着すると、今日も多少水量は増えて、問題はないほどの多少濁った状態。雪が降って良いのは大きく濁らないことだ。

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 そろそろアメマスが出てくれないかと竿を振り始めると、ある程度やるしかないかと覚悟が決まる。寒さにも少し慣れたのか、手も最初のようにかじかんだ感じは消えて問題なさそうだ。時折雪が強くなると対岸の景色が霞んで見える。これはもうアメマスにふさわしい景色じゃないか。けれどもその雰囲気とは裏腹にポイント終わりまで行っても一向に反応はない。そううまくは行かないか。
 場所を移動して再び川に入ると岸の浸かり具合から随分増水しているのがわかる。できないほどではないが、こんなに増えていたのかと実感しつつ、これでは難しいかとも思う。予想通りここも反応なし。水が増えて魚のいるところに届かないのではと、錘を追加してみても同じだ。今日はこの周辺を探ってみようと思っていたのだが、久しぶりなので川の状況もよくわからないし、この雪では他の場所に入るのもなかなか難儀なことだなと、慣れた中流域に向かうことにする。たださすがにもうドライフライは無理なので、沈めてチャンスがありそうな、いつもより少し下流の流れに行ってみることにする。
 多少蘭越よりはましかと思いながらやってきたが、雪の量はむしろ多いようで、あまり車通りの少ない道は除雪も入っていないので、雪の中にくっきりと車の通った轍ができている。
 川岸付近に着くとまだ全く車が通った跡がない。これはいいことなのだろうが、しかしそんなところを車で突っ込んでいくのは不安なので、途中で車を降りて歩くことにする。ここは前回使った6番のフルシンクのラインを使ってやろうと準備する。ここも積雪はまだそれほどではないので歩くのは困難ではないが、風が冷たく気温が一層下がったように感じる。こんな寒々とした中釣りになるのかよと思いながらも、川に到着するとやはりそれなりに気分は高まるものだ。


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 ここに入ったのは確か今年初めてだ。果たしてどうなのだろう、以前いい魚を挙げたのはこの辺りだったかなと思いながら、流し始めて三投目くらいだったか、ドンとラインが止まる。なんだと思いながら竿を立てると首を振っている揺れが伝わって来る。魚だ!重い、結構なサイズだ。なんとか竿を持ち応えて魚が浮かんでくると大きな背びれと尾びれが水面に出てドキリとする。アメマスだろうか。このゆったりとした重い引きはたぶんそうだろう。一度下流にラインを引き出したが止まってくれた。あとは多少の持久戦、まさかティペットが弱っていて切れないだろうな、鉤が外れないだろうなと思いながら引き寄せるとやはり大きい。アメマスだ。慌てて取ろうとして何度か取り損なう、頭から取らないとネットに入りきらないのだ。ようやく魚の下に回り込んで頭の方から掬い上げるとなんとかネットの中に入った。久しぶりの大きさ、ずしりと重い。60くらいはあるだろうか?デカい尾びれがはみ出ている。大きな斑点はやはり海から上がって来た証だろうか。
 さてそれでは写真を撮らせてもらおうかと撮りやすそうな岸へのんびり移動していると、いきなり魚が跳ね上がった。アッと思う間もなくネットから飛び出して水の中にドボン。どこだと慌てて必死になって掴もうとしたが、魚の感触だけ残してすぐに水の中に消えていった。なんてこった、写真くらい撮りたかった。もっと慎重に扱えばよかったと思ったのも後の祭り。こんなチャンスめったになかったのにと、何かバラしたような喪失感が襲った。
 むきになってそのぽっかりと空いた穴を埋めようとするように、何度もまた流してみるがもう魚信はない。時折雪が強まると、辺りは一面真っ白にけぶり、もう帽子の庇の上にまで積もっている。だんだんラインが出にくくなってきたなぁと思って見るとガイドも凍っていた。もうそんな時期か。
 本当はもう1か所行ってみる予定で、その方がよかったのだろうがもう遅い、今日はここで終わるしかない。
 あーあ今日は魚の写真は無しだと思っていると、小さな当りらしきものが。確かに大きくはないが揺れている。さんざんやって駄目だったのに、神様が哀れな釣り人に恵んでくれたのか、30ほどのアメマスというよりイワナという方がしっくりとする小さな斑点だ。同じ場所なのに随分個体差があるな。

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 それにしても随分縮まってしまったなぁ。ナンテ贅沢言っちゃいけない。写真に収められるだけ有り難い。今度は逃げられないように慎重に撮影。よくぞ釣れてくれました。
 車に戻るまでの道、さらに雪の深さが増したように思われた。もうすっかり冬景色だ。
 帰りの峠はすっかり暗くなっての恐る恐るの運転。いくら車のヒーターが入ってもなかなか体が温まらなかった。

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# by kimamani-outdoor | 2017-11-16 21:16 | 釣り | Comments(6)