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西別川 記憶に一滴の光を添えるべく虹鱒を釣りに行く 三

 車に戻って釣り道具を積み込むと急いで虹別の町まで戻る。早く釣果の写真をFさんに見せたかった。待ち合わせのコンビニに行くといつもの見慣れたFさんの車が止まっていた。どうやら中で買い物をしているらしい。
 久しぶりとはいってもまだ一カ月ほどだ。早速デジカメの写真を見せて凄いでしょとと無理やり同意を促す。
 さて一緒にどこで釣るか、上流の方のふ化場まで行ってみたが本州ナンバーの車が一台止まっていて釣り人が竿を振っていた。どれどれと車を止めて見ようとすると猛烈に虻が車の周りに集まりだした。知らなかった、西別川に虻がいたのか、まぉこんな上流まで来たのはそれほど多くはなかったのだが。一目散に退散してもう少し下流で釣ることにした。
 Fさんは餌釣りだし自分とはペースが合わないので、上流と下流に別れて釣るのが常道とは思ったが、せっかくの機会なので一緒に釣り上ることにした。Fさんの餌は例によってイタドリだ。自分は川に降りて早々橋の下の岸際のゆったりとした流れを流すと、早速イワナが反応してくれる。


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 文字通り一日の長で、ゆったりした岸際の流れだよと教えると、Fさんの方もすぐにイワナを釣り上げた。けれどこの時期だと多少は毛ばりの方に分があるようだった。調子に乗って釣り上げていると、突然体のバランスを崩してこらえられず川の中に沈した。ウエーダーの中まで水が入ってしまった。カメラはこれまでなんども駄目にしているので防水の袋に入れてあるので無事だ。しかし躓いたわけでもないのにいったいどうして転んだのかわからない。全く年は取りたくないものだ。

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 この場所は調子いいぞと思ったのも橋の付近だけで、しばらく行っても反応が続かない。とくにいかにも良さそうな流心や大場所は釣れても小さいのばかりだった。自分はつい夢中になって毛ばりを木の枝にひっかけるし、Fさんも倒木で仕掛けを失って苦戦している。それに河原のない川を釣り上るのは水流が強くてやはり大変だな。夕方になると少し気温が下がって来て、どうも素晴らしい夕まず目とはいかないようだ。Fさんは仕掛けを取り換えるのに随分手間取っている。気温が下がると指に血が通わなくなってうまく動かなくなるのだそうだ。お互いだんだん体が言うことを利かなくなるなぁ。おまけにFさんもいきなり深いところにハマって、ウェーダーの中まで水に浸かったらしい。その時、餌のイタドリを流してしまったらしく、不本意ながらイクラで釣っている。どうもイタドリより反応が悪いらしい。お互い今一つ消化不良のまま引き返すことにする。多少夕まず目らしく瀬で少し出たもののやはりニジマスは釣れなかった。午前中釣れたニジマスはもう何か遠い夢の中の出来事だったように感じる。
 川を上がり車の場所に行くと、既にFさんは上がっていて着替えてウェーダーを干していた。地面がかなり濡れていてどうやらそれはウェーダーに入っていた水のようだ。自分の方は湿った程度でそれほどではない。
 Fさんにこれからどうするのか尋ねると、自分と一緒に弟子屈に泊まって翌朝もやってみるという。それではと一緒に弟子屈の道の駅に戻ってみると、相変わらず今日も駐車場は一杯だ。どうやらFさんは温泉に入りたかったようなのだが、この時間では日帰り客用の温泉は開いていないらしい。仕方なく道の駅にあった足湯に浸かったそうだが濡れて冷えたのかもしれない。

 次の朝起きるとやはり雲は低く少し霧がかかっている。

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 どうするか考えたが、今日はお互いの釣り方を尊重して分かれて釣ることにした。Fさんは上流の橋から上り、自分は昨日の所から下ることにする。自分としては西別川では毛ばりを流しやすい下りの釣りが合っている。お互いの健闘を期して別れた後、ふともう目的は達したしそのまま帰ろうかとも思った。しかしやはりこんなところまで来る機会はそうないのだからという考えの方が勝った。今日はなんとか小さくても別な場所でもニジマスの姿を確認したかった。

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 早速昨日釣った橋の場所でイワナが釣れる。今日も最初の一匹はどんなに小さくとも写真に収める。

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 相変わらず今日も釣れるのは岸際のゆったりとした流れ。そこそこ釣れて楽しませてくれるのは有り難い。たまに流心でも反応があったが、毛ばりに出るのは擦れているのか一度きり、ヤマメかひょっとしてニジマスだったのかも?結構期待を持たせるような素晴らしいポイントが続いたが、昨日の様な事は再び起こらなかった。昨日の方が特別だったのかもしれない。

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 結局帰りの時間まで再びニジマスには出会えなかった。ひょっとして数が減っているのかな、その分イワナが増えたようにも感じるが、イワナに負けるということがあるのだろうか。このことは新たな課題として残った。
 いつものようについ粘ってまた予定の時間より少し遅くなってしまった。急いで車を走らせFさんの所に寄ってみたが既に車はなかった。

 
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 後で聞くところによるとなかなかポイントらしいところが無くてさっぱりだったという。イタドリを失ったせいもあるかもしれない。
 そのまま弟子屈の街へ戻ると次第に空が晴れて暑くなって来る。これが今頃の普通の気候なんだ、やはりあの地域の冷涼さは特別なのだと思わされる。その分ドライフライでの釣りは少し遅れるのだ。再び阿寒横断道路の急カーブを曲がりきると相変わらず双湖台の駐車場は閑古鳥だ。観光客の通り道がすっかり変わってしまったのだろうか。少し阿寒湖畔の商店街にも車を走らせてみたが、昼という時間のせいもあるのか人通りはまばらだった。上足寄では打ち捨てられた集落に目が行く。随分この地の開拓には苦労したろうに。なぜか廃墟に心が惹かれてしまうんだな。

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 足寄の街では蕗と木苺の瓶詰を買う。道の駅では松山千春の歌がずっと流れていた。士幌の道の駅で立派過ぎるトイレを借りて狩勝峠に向かう途中で、来るときに入ろうと思った瓜幕の温泉に立ち寄る。かつて来たときは建てられて日も浅く、とてもきれいな印象だったが、今は多少古くなって寂れたような印象を受けた。

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 中はそれほど変わりはなく温泉も良かったが、以前あった登山者用の宿泊施設という看板はなくなって、合宿場所にという呼び込みで客を集めようとしているようだった。受付の女性に聞いても山のことはよく知らなかった。温泉を後にし、湯上りの気持ちよさで車を走らせると、一面白い小さな花が真っ盛りだった。蕎麦の花だ。そういえば蕎麦で有名な新得はここからすぐ近くだったことを思い出した。

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by kimamani-outdoor | 2017-08-03 22:14 | 釣り