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真狩川 チェルノバその後

 29日 今日は昨日と打って変わって初夏を思わせるようないい天気だ。中山峠付近の木々にも新緑がまぶしく、なんとその色合いの美しいことだろう。昨日、一昨日はかなり多くの小学校が運動会であったとのこと。今日の天気と入れ替わっていたらと可哀そうに思う。けれど親はともかく子供はエネルギーがあるから、雨は雨でもまたそれを楽しんでしまうのかもしれない。
 前回の真狩川はあれほどの羽化にもかかわらずあまりライズがなかった。たまたま自分の入った場所がダメだっただけなのか、それとも川全体のことなのか、ぜひほかの場所で確かめてみたいと思い、しつこいようだが再度真狩川を訪れることにする。なおタイトルですが前回の羽化は勝手にチェルノバマダラカゲロウにしてしまいました。違っていたらごめんなさい。
 途中ニセコの道の駅に立ち寄ると相変わらずの賑わいで、自分もちょっとした観光気分になる。美味しそうなアスパラを買って、10時半のんびりと川に向かうと既に田植えが始まっている。同じように晴れた日をめがけてのことだろうが、こちとらは遊びで申し訳ないです。
 とりあえずまずは一応前回の場所の様子を確かめて見てみるかと川を見ると、すでにスピナーらしきカゲロウがたくさん飛び交っている。なんてことだ、来る時間が遅かったか。しかし逆に川面を流れる虫の量は前回より少ないようだ。網を水面につけてみても二、三匹のチェルノバらしきニンフが入るだけだ。そのせいなのかはわからないが、相変わらずライズは見えない。やはりな。

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 まあ一応上流の方もと見てみるかと遡行していくと、前回は何もなかった場所に小さなライズのようなものが見えた。明らかに岩などによる飛沫ではなく、魚によるものだとわかる瞬間的な飛沫だった。前回の様な体を出すようなライズではない。これは水面下のものを食べているものなのか、何度もドライフライを流しても反応がない。確か去年見たのもこんなライズだ。ライズしていてもなかなか食わないのだ。時々思い出したような気まぐれな出方をする。わかってはいたけれど、いきなりこんな難しい釣りの状況に遭遇してしまうとは。
 水面直下をニンフを流して当りを取るのは至難の業だ。錘を付けず毛ばりの近くに目印を付けて流してみても、当りが無いのか、それともわからないだけなのか、目印はライズのあった場所を素通りしていく。
 それでも魚がいることが分かったことで少し安心する。これは前回とは明らかに違う点だ。ここで一日粘って何とか一匹取ろうかとも思ったが、また後で来てみようとさらに上に進むと、何とゆったりとした流れでかなり激しいライズがいくつか見えるではないか。これは何匹かいる違いない。この魚たちは前回はどこにいたのだろう。同じくここにいて活性化していなかっただけなのか、それとも他から移動してきたのか。
 一番活発にライズしている辺りに前回出たアダムスのドライフライを流すと二回目くらいであっさり食った。やったと合わせると簡単に寄ってこない。水面に浮かび上がった魚体からは30を少し超えた位かと思っていると、急に下流に走ってラインを引き出していく。このまま下の瀬に入られたらまずいと、何とか持ちこたえようとしていると急に竿が軽くなった。外された。急に力が抜ける。久々のいい魚だったのに。
 気を取り直して他のライズを狙うが、今度はそう簡単には出てくれない。やはり水面下のものを食べているのか。
ふと下流を見ると餌釣りの人が後から上ってくる。人の後から、しかも見えるところから入ってくるかと思っていると、こちらが同じ場所で粘っているのでなかなか上がって来られないようだ。
 ここで何とか一匹と粘っていると、急に後ろから声をかけられた。その餌釣りの人が岸を上がってやって来たのだった。まだ若い感じの釣り人だった。そしてこの上どのくらいから入っていいですかと聞いてきた。こちらの邪魔にならないよう配慮してくれたらしい。自分なら勝手に追い越して上流に入ってしまうかもしれない。随分最近の若い人は礼儀正しいなと感心して、逆にこちらが恥ずかしくなる。
 さてもう一度ライズを狙うかと用意すると、風が強くなり川の上を大きな毛虫の様な、たくさんの木の花房の様なものが流れていく。これじゃあさっぱり毛ばりとの見分けがつかない。そして陽射しも翳ってライズもなくなってしまった。あーせっかくのいいチャンスを逃してしまった。今日はもうこれで終了かもしれない。
 仕方なくさらに上流に行ってみるがライズは見つけられない。

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 すると再び風も収まって陽も出てきたので先ほどの場所へ戻ることにする。半分やけ気味で、途中錘を付けずウェットフライを流していくと瀬のポイントで小さなニジマスが鈎掛りしてくれた。良かった、なんとかボウズは免れた。こんなところにニジマスがいるんだ。

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 ライズがあった場所に戻ると再びライズが再開していた。まだチャンスはあるぞとうれしくなる。
 しかし相変わらずドライフライを流しても反応はない。ティペットも細くしたかったが、いきなりこんな場面に遭遇するとは思ってもいなかったので持ち合わせがない。それでも流しているとドライフライが沈んで見えなくなった。あれっと思ってピックアップすると手ごたえが伝わって来た。やっと毛ばりを食ったのだ。あげると25くらいの随分おなかの膨れたニジマスだ。たくさんの餌にありつけたのだろう。毛ばりが沈みかけた時に食ったのかもしれない、やはり水面下かと、随分使っていないもうよれよれのフローティングニンフを結ぶと、何回か飛沫が上がり毛ばりが消えた。あげてみるとこれも同じようなサイズだ。これは少ししてやったりの気分になって多少満足する。

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 さらにいいサイズの様なライズが続いていたが、手持ちの毛ばりの何を投げても反応はなかった。すっかり警戒させてしまったのかもしれないし、違うものを食べているのかもしれない。ここは一度仕切り直しだ。

 次の日勢いこんで昨日と同じ場所へ再度チャレンジする。今日はフローティングニンフも巻いてきたし、細いティペットも持ってきた。一応と思ってスタマックポンプも持ってきて準備万端?のつもりだ。
 中山峠は昨日と同じく新緑の色どりが一層美しさを増しているようだ。無意根の山肌も雪が解けて模様が見える。こうしてみると無意根の大きな壁もなかなか雄大で格好がいい。自分はいつも遠くから無意根を見ると、「星の王子様」の象を呑込んだうわばみの絵を思い出してしまうのだが。今年もまたあの稜線にたどり着けるだろうか。

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 喜茂別を過ぎ、途中の橋から見た尻別川の水量は全く通常に見えたが、先日のあの水量は何だったのだろう。
真狩川に着くと昨日よりも随分田植えが進んでいる。もう少しでこの辺りも稲の緑が風に吹かれて揺れるのだろうな。

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 さあ今日もカゲロウの乱舞はもう始まっているかなと川を覗いてみると、川面の上にはちらりほらりとカゲロウが飛んでいるだけだ。昨日の大量のカゲロウはどこへ行ったのだろう。一日でこんなに変わるものか。さらにいつの間に羽化したのか、大き目のトビケラも時折水面を飛び始めた。このサイズなら魚もライズするかもしれない。さらにそれに混じって大きなガガンボも水際を飛翔している。川はカゲロウ一色から新たな段階に入り始めているようだ。
 そんな観察をしながら昨日ライズのあった場所へ行くと、こんな状況でも時折小さなライズが見える。やはりカゲロウを食っているのだろうか。今日は昨日の反省から普段はあまり使わない7Xのティペットを結ぶ。これで多少の魚の反応は良くなるだろうか。これはちょいとしたシラメ釣りのようだぞなどと、やったこともないのに思って見る。

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 ドライフライを結んで流すと、何投目かで25くらいのが早速一匹鈎掛かりした。ひょっとしてティペットを細くした成果が出たか、単に時間がたったから?このサイズでもジャンプを何度もして元気がいい。しかし反応は続かない。早速フローティングニンフにチェンジすると反応があり同じくらいのが釣れる。初めてスタマックポンプを使ってみる。どうもこんなものを魚の口の中に突っ込むのは気が引ける。自分が胃カメラを飲まされたような気分になる。うまく内容物をとれたのかわからなかったが、2匹のチェルノバらしき小さな黒いニンフが入っていた。やはりあんなにライズしていても、食べているのは主にニンフなのだろう。こいつで釣るのは難しいなぁ。

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 その後ライズは続くが、それっきりなかなか毛ばりに出てくれない。見切られてしまったかな。
 一旦その場を離れて上流の様子を見に行くと、今度は割に流れのある所で別なライズ発見。ライズの流域が広がっている感じがする。
何度かドライフライを流すと今度は案外あっさりと反応してくれた。この違いは単にスレたのかどうかの違いなのだろうか。
その魚もスタマックを探ってみると、やはり出てきたのはチェルノバらしきニンフだった。
 新たなライズを見つけられずまた最初の場所に戻ると、既にあまりライズはなくなっていた。それでも相変わらず陽光と新緑のきらめき、そしてエゾハルゼミの時雨は続いている。こんな中で二日間も、ライズの謎解きをするような釣りをさせてもらえること自体が、なんとも幸せなことだなぁとしみじみ思う。
 それでもまあとりあえず小さなライズのあった場所をドライフライを流すと、魚が水面まで見に来て、毛ばりと一緒に流れて再び深みに戻っていく様子が見えた。こんな風に毛ばりを見切るんだな。
 ライズもないので仕方なく流心を一応流してみると、突然激しいしぶきをあげて毛ばりを食った。あんなに無視していたのにいったいどうなってんだ。
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 それに続いてさらにいいライズがあったので、すぐに毛ばりを投げると同じように毛ばりに激しい水しぶきが上がった。あわてて合わせるとしっかりとした魚の重さが伝わって来た。これはいいサイズだ。水面まで持ち上げて見えた魚体から、どうやら昨日バラしたのと同じような大きさ。ひょっとして同じ魚? そう思ったとたん同じように走られる。鈎掛かりは良いみたいだが何たって7Xだ。今度こそ取れるか、慎重にと思いながらネットを差し出すとまた下流に走られた。今度は持ちこたえてくれと思ったが、ふと同じように竿が軽くなった。なんてこった、1度ならず2度までも同じようにやられた。やはり昨日の奴かもしれないなぁ。君の方が上手(うわて)ってことだ。
 それにしても出なかったり突然激しく出たりわけがわからん。何か突然水面にスイッチを入れるものでもあったのだろうか。
 その後も散発なライズが続いて何かの拍子で出るが、やはりまた気まぐれ状態に戻ったようだ。
 夕暮れが近づいてくるとまたぱらぱらと別なカゲロウが飛び始めたようだ。クリーム色がかっているので、ヒメヒラタカゲロウか何かだろうか。随分短い期間に違うカゲロウが羽化するものだ。
 この2日間随分魚たちに遊んでもらった。果たしてこの魚はどこから来たのだろう。今回はニジマスばかりでヤマメはいなかった。わからないことばかりだ。その都度その都度判断するしかないのかな。まあだから面白いともいえるが。
 川から上がって車まで戻る途中、木の周りをたくさんの小さな虫が飛び交っている。どうやらチェルノバマダラカゲロウのスピナーらしい。こんな川から離れたところにいたのか。ひょっとしてこれから産卵に川まで向かうのだろうか。そうすると大量のスピナーがあの後、水面を流下したかもしれないなどと夢想した。
 自分がすっかり遊び呆けている間に、働き者の農家の方はほとんど田植えを終えたようだった。

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by kimamani-outdoor | 2017-05-30 21:45 | 釣り