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支笏湖 最大の水生昆虫? の羽化に出会う そして漁川その後

 20日 最後に支笏湖に行ってもう3週間ほどになる。もうこの頃になると釣り人もぐっと少なくなる。水温が高くなるから魚はもっと水温の低いところに移動しているのだとも言われているが、自分はセミや虫の羽化が一通り済んで食べるべき餌が湖岸に少ないのではとも考えている。夏の支笏湖は深く追究したことは無かったのだが、本当はどうなっているのかはこれからも見ていきたい。
 それで春ゼミ以降の時期でふと今までの支笏湖での釣りの経験の中で思い出したことがある。確か7月中旬以降にオニヤンマ(ウィキベディアによると平らな形のヤゴの特徴から判断して別種のコオニヤンマのようだ)の羽化がたくさん起こったのを見たことがあるのだ。確かにモンカゲロウよりも何倍も大きい支笏湖最大の水生昆虫だ。もうそろそろそんな時期かという秘かな期待をもって支笏湖を訪れた。朝からどんよりとした雲が低く垂れ込め、途中の小高い峠では靄がかかっていてライトをつけて進む。それでも辺りの木々はうっそうと木の葉を茂らせ緑のトンネルを作り出していて暑い夏の到来を予期させていた。
 
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準備をして湖岸に下るともう10時を回り、波がかなりあるが風はそれほどではなく、湿った空気が重ぐるしく停滞している。(波があるのに風を感じないのはたぶん風向きのせいだ思う。)春ゼミがいなくなって全くの静寂が立ち込めて、あれほど満ち満ちていた生命感があまり感じられない。ひょっとしてもうオニヤンマが飛び交い、それを狙う鱒たちも現れるのではという淡い期待は遠のいたようだ。

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しかしよく見ていくとヤゴの抜け殻と思われるものが岩に付着している。

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探すと結構あるのでオニヤンマの羽化は既に始まっているのだ。さらに探すと岩の陰に隠れて羽化したトンボが何匹か止まって休んでいる。まだ飛び立つだけの状態になっていないらしい。


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さらに探すとまだ抜け殻になっていないヤゴを発見。どうやらこれから羽化するらしい。釣りはひとまず置いておいて羽化の様子を観察することにする。他のところはどうかと探りに行って戻ってくると、既にそのヤゴは背中が割れ成虫の頭が顔を出している。以前も一度羽化には立ち会ったことがあるのだが、その時はもっと朝早くであった。今日は曇っているせいで羽化が遅れたのだろうか。その時はどうやってあの長い尾が扁平なヤゴの中に納まっているのか不思議に思ったものだ。
 するとこれから羽化するらしいヤゴがほかのところにも見られる。いいタイミングで来たらしい。

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羽化を始めたヤゴの殻からやっと成虫が抜け出した時には羽と尾は短くコンパクトな状態になっていた。あれが次第に伸びていくのかと納得する。

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時間が経過するにつれて徐々に成虫は羽と尾を伸ばしていく。飛べるようになるまでは2時間半と結構な時間がかかっているがこの間が一番無防備で危険な時期だろう。

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魚が食べることは難しいだろうが鳥などに狙われたらどうしようもない。また強い風が吹いて岩から落ちたりすればせっかく伸びかかったデリケートな羽は捩れて駄目になってしまうだろう。自分は子供のころ蝉の羽化でこのことをいやというほど思い知らされた。実際なかなかうまく羽を開くことのできない成虫も見かけられた。ふと茂みに目をやるとまるで蝉のように湖岸から少し離れた木にぶら下がって脱皮しているものもいて、そのヤゴの行動範囲の大きさに驚かされる。

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やはりこの段階で魚が捕食するとすれば、ヤゴが羽化のため岸寄りしてくるのを待つしかないと思われるが、その時はそんな気配は見られない。あとは羽化した成虫が水面で産卵する場面か、産卵を終えて水面を漂っている時であろうか。それを狙って大きな鱒たちが岸寄りすることはあるだろうか。いつしか羽化した成虫たちは飛び去っていなくなったがいったいどこに行ったのだろう。成熟して産卵するまでにはどこで過ごし、どれくらいかかるのだろう。
 釣りはこの合間に片手間でやっていたのだが、全く反応はなかった。ほとんどトンボの羽化観察の一日だった。

 23日 支笏湖へ再びオニヤンマの羽化はないか、オニヤンマの産卵行動はまだ見られないか確めに行く。久々に晴れ間があるのだが20日と違い、風が強く波立っている。

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この風では羽化して無事に羽を広げることも難しいのだろうか。それともこのあたりの羽化はもう終了したのだろうか。
また成虫の産卵する飛行も見られない。辺りを見回すと前回と抜け殻の数はそれほど変わってはいないようなのでこの間に羽化したオニヤンマはあまりいなかったことになるのか。
 それでも一応竿を出して大き目の陸生昆虫フライを波間に流してみるがやはり反応はない。いつかオニヤンマの産卵行動を狙う鱒たちは現れるだろうか、そんな期待を胸に早々に漁川に向かう。実はあの春に小さなオショロコマを確認して喜んだのだがその後どうなったか気になっていた。またあの生命感のあまり感じられないの支笏湖を後にして、どんなに小さくてもいいから魚の顔が見たかった。
 入渓の橋では工事なのかトラックやショベルが入ってこのところずっと作業をしている。もちろん安全な道を確保するために必要なのだろうが、あまり魚たちの生態に影響を与えないで欲しいとも思う。
 定番の黒いテレストリアル系の小さなフライを結び、ちょっとした流れのたるみを探っていく。すると早速10cmほどのイワナが毛ばりに飛びついた。元気でいてくれたんだなぁとうれしくなる。それにしても春の頃からあまり成長していないのかなぁ。
 
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 それでも春の時と違ってここはというポイントでは同じサイズだが大体毛ばりに反応してくれる。渓相こそまだまだ荒れているという感じだが、しっかりと魚が息づき、また途中で大型のカワゲラの抜け殻を発見して川の生態系も少しずつ回復して来ているのを感じることができた。

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上るにつれてほんのの少しだがサイズも上がってきたように思い、魚たちもきっと春から着実に成長を重ねてきているのだろう。
 
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 いったいどれだけの魚があの豪雨の激流を生き抜き、産卵することができたのか、そして新しく誕生した魚が再び生態系の一員として自然の中で育まれていると思うとなんともいとおしくなる。もう十分それを感じ取ることができたが、まずはあの大きな砂防ダムの上流までは行って見よう。

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そこでも魚の存在を確かめられるか、そうであれば十分川全域にわたってオショロコマが息づいていることを実感できる。
 確かに砂防ダムの上にも魚は生息していた。その無事を確かめ溪を後にする。

by kimamani-outdoor | 2016-07-23 19:15 | 釣り