久しぶりの土日の好天で、今日は19日月曜日、随分釣り人たちも川に入って楽しめたことだろう。その分お魚君たちも疲れ気味で、釣りに行っても相手にしてくれないのではなかろうか、などとぐずぐずしていた。
 けれど少し行かないうちにすっかり川の方も様相を異にしているだろう。チェルノバに翻弄されたり真狩川や、全く反応の得られなかった尻別川はどうなってきただろう。そろそろ真狩の水も切れかけてきたし、今年は育ち具合が悪いというアスパラもこの天気で良くなってきたのではなどと、欲張ってあれこれ一気にやりとげようと車を走らせる。
 峠を越えると羊蹄が見え始める。無意根山からも感じたが、随分雪が少なくなって、あの冬の真っ白な姿が夢のように思われる。


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 畑の作物も育ち始めて茶色の部分が少なくなってきているな。
 真狩の水汲み場もこの時間にしては結構な賑わいだが、待って汲むほどではない。開店の八時半までは少し時間があるので川の様子を見たりしてニセコの道の駅に行くと、本州からと思しきキャンピングカーが何台も止まっていて北海道も観光シーズンだな。のんびりトイレ付近のニセコ近郊のアウトドア―活動や店の案内を見ていると、準備中の看板がしまわれたので早速店内に入って物色していると、いい朝採りのアスパラが並んでいたので購入する。野菜が農家から持ち込まれるのが朝と昼の二回だそうで、タイミングが悪いと観光バスがやってきて一気に野菜がなくなってしまうこともある。

 ということで何とか実利的な目的は果たし終えて真狩川に向かう。もう木々は深緑といってもいいほど厚く茂っており、エゾハルゼミの声はまだ聞こえはするが、どこか頼りなさげだ。
 準備を終えて川に向かうが、さてどんな方法で攻めたものか。川を見ても参考になりそうな虫もあまり見られない。もう魚たちはもう春のカゲロウの羽化は経験しているのだから、もう水面にも関心があるだろう、まずはトビケラのドライフライで攻めてみよう。プロのフライフィッシャーマンである刈田さんはパイロットフライという考え方は否定されていたが、採集ネットで水生昆虫を探るなどという悠長なことはさすがにやっていられない。
 最初のポイントの流れの筋を何回か毛ばりを流す。いい時ならすぐに反応があるところだが全く毛ばりは素通りだ。やはり月曜のせい?今度は流れの裏の緩やかなところを流す。するとかすかな反応が。何回か流しても同じような反応だ。小さすぎて毛ばりを銜えられないようだ。少し気合を入れて反応した瞬間に合わせると、やっと小さな稚魚の様なヤマメが鈎掛かりした。


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このサイズかぁ、さすがに参るなぁ。その近くを同じように探ってみても掛かるのはこのサイズばかり。今日はひょっとしてこれで終わりかとさすがにがっかりして、先を急ぐ。
 少し先のポイントでようやく少し大きめの(といっても20はないような)サイズの魚影が毛ばりを追うのが見えた。しかし見切ったのかその後は反応がない。毛ばりを何度か替えて、小さな甲虫系の毛ばりを流した時、ようやく鈎掛かりした。やったーと思って抜きあげようとするとポロリと魚が落ちた。やっと稚魚から解放されたと思ったのにとがっかりする。
 さらに上って必ずと言って反応があるポイントで、さぁ今度こそと思いつつ毛ばりを流す。さぁ今出るかと期待するのだが何の反応もない。今までこんなことはなかった。最後に一度毛ばりに出たが合わせられず、それきり反応はなくなった。いよいよ今日はあの稚魚でおしまいか。
 チェルノバの時に、2度にわたっていいサイズをバラしたゆったりとした流れのポイントに到着。


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 すると岸際で少なくとも稚魚サイズではないライズが。いったいこの時期に何を食っているのだろう。慎重に近づきながらライズのあった場所の少し上流に毛ばりを落とす。流れて行ってパシャッ、出た!と思って合わせたが鈎掛かりしなかった。食っていなかったのかな。このライズもなかなか手ごわそうだ。その後は何度流しても反応はなくなった。またしてもチャンスをものにできなかった。
 やはり今日はだめか、でもあのライズがあるということは他にもあるのかもしれないと、気を取り直してその何メートルか先の上流を狙う。何投目だったろうか、期待せず探っているという感じだったのだが、いきなり毛ばりにいい水しぶきが上がった。予期せずという感じで慌てて合わせたがタイミングとしてはすっかり遅れた。鉤掛りしたのかと思う間もなく、ラインが強く惹かれて魚がジャンプした。この川にしてはまずまずのサイズだ。こいつは絶対に外せないぞと思いながら慎重にやり取りしながらも、何度も外された経験から、魚が水に顔を出した時に一気に掬い上げた。今度こそヤッターだ。見ると30ほどのきれいなニジマスだった。自分がこの川で釣り上げたサイズとしては最大といってもよかった。

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 稚魚からもやっと解放された。それにしても今まであれだけ食い渋っていたのに、随分素直に出てくれたのは有難かった。こんなこともある。 写真を撮りながら小休止していると、さっきの場所でまだライズしている。今日はもうこれでいいとも思ったのだが、据え膳食わぬは何とやらである。ゆっくりと近づいて同じ毛ばりを流すと、いきなりゆっくり背びれを出して毛ばりを食った。結構大きい。合わせるとしっかりと手ごたえがある。しかし魚は動かずラインは同じ場所に刺さったままだ。確か大きかったはずだよな。見間違いか?と思いっていると漸く走り出す。やっぱり重い、何とか引き留めて浮き上がって見えた魚体はまずまずのサイズだ。暴れられないうちにと引き寄せて一気にこれも救い上げた。35くらいか?春にばらしたのと同じくらいの手ごたえだった。それにしても今日はお魚君も少し疲れてたのかな。

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 ひょっとしてとも思ったが、まあいずれにせよちょっとした敵討ちができたという気持ちだった。何が変わって食ったのだろう、それもドキドキの出方で。流し方だろうか、何かのスイッチが入ったか? いずれにせよ少なくとも真狩川ではもうトビケラの毛ばりで十分釣りになることはわかった。これで今日の釣りは十分以上だ。
 それでもほかの所も見てみなくてはなるまい。さらに上流にさかのぼってみるが、流れの緩い深めの所で、ぽつりぽつりと毛ばりに反応があるくらいで、しかもいきなり鈎掛かりするというような素直な出方ではなかった。また夏のように瀬の部分での反応は全くなかった。

 さていつも自分はズルズルと一つの場所に長居しすぎる。今日はもう一つの目的地である尻別川本流にも行ってみなければならない。場所は前回行って反応のなかった喜茂別から下流の同じ流れを再度試してみることにする。
 あれから草が随分伸びていて川にたどり着くまで手間取った。まずは瀬から深みに入るいかにも大場所らしいところだ。木の下流のゆったりとした流れにトビケラの毛ばりを流すとすぐにパシャリと反応がある。あまり予期していなかっただけに慌てる。流れもあって重い。けれどあまり走らない。何だろう、アメマスか? 下流に降りてゆくのを何とか止めようとしているうちにふっと竿が軽くなった。せっかくの本流の初のいいサイズだったのに。少しがっかりしつつも随分最初から幸先が良いぞとも思う。なにせこんな場所で毛ばりに出たことなど初めてだ。
 けれども少しずつ上流に移動していくがその後は全く反応がなかった。あれは何だったのだろう。ただの気まぐれか?
 いよいよ期待の早い瀬から深みに変わる部分に到着する。この場所は流れも強いし、深いところは水深もありそうなのでここは錘を付けてウェットフライを流すことにする。

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 少し上流気味に毛ばりを投げて、流れに乗せながら沈めて行き、深くなっているところで毛ばりをターンさせるというセオリー通りの作戦だ。さてどんな具合だと毛ばりを流してターンさせ始めた時、いきなり強烈な当たりに竿をのされる。今日は心の準備ができないいきなりが多い。流れもあるので何とも言えないがいいサイズなのは間違いない。こいつは相当遊んでもらわないとあげられなさそうだ。何度もやり取りをして、そろそろかと思って竿を保とうとした時、またしてもふっと竿が軽くなった。なんてこった! 下流に行くのを止めようとすると鉤は外れやすいのだろうか? 久々に本流の大物にお目見えしたかった。
 けれど同じ場所でその後も同じような流し方で何度も当りが続いた。当たっているのは感じられるのだがなかなか鈎掛かりしない。それでも小さいがニジマス、次にホウライマスが釣れる。

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 こんな同じ場所に魚がいるのだ。こんなこともあまり経験がない。そして最後にもう一度ラインを引き出すような強い当たりがあった。最初のと同じくらいかと思ったが、今度はあまり遊ばせずとも、多少強引に引き寄せて救い上げることができた。30くらいのニジマスだ。流れのためもあるのだろうが、このサイズであれだけ引くか。最初のがどれくらいだったかわからなくなる。それにしてもこうウェットフライに反応が良いとは、やはり虫が羽化し始めているのだろうか。

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 ここから上流はゆったりした流れもあり、浅いところもあるので再びトビケラのドライフライに切り替えて探ることにする。ところがこれが失敗だったのか、その後は全く反応がない。夏場なら当然何らかの反応があっていい場所なのだが。やはりドライフライにはまだ早すぎたのだろうか。それとも魚の付き場が違うのだろうか。浅めの所では小さなヤマメの様な魚が毛ばりに反応したが、それも一度きりで鉤掛かりもしなかった。最初の場所のウェットフライとは打って変わった反応だった。
 やがて5時も近づき多少肌寒さも覚えるが、まだトビケラの群れて舞い飛ぶ姿は見られない。むしろ時折飛ぶカワゲラの方が目に付く。この本流ではあまり水生昆虫のスーパーハッチなど見たことがないが、どこかで起こることがあるのだろうか。
 まあそれにしても今日は、午前中はドライフライの釣り、午後はウェットフライの釣りと十分に楽しませてもらい、何とも有り難い1日だった。最初の月曜日の不安など、どこかへすっかり吹き飛んでしまった。


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# by kimamani-outdoor | 2017-06-20 19:38 | 釣り | Comments(2)

 中山峠を通る度に見てきた無意根山だが、考えてみるとまだ今年は一度も訪れていない。早めにご挨拶に行かねばならない。深田久弥さんによると、山を登る人には、様々な違う山を訪れる人と、同じ山を何度も訪れる人の二通りあるという。自分の場合はどちらかといえば後者で、同じ山を訪れる時の馴染んだ感じが好きだ。どこどこの場所でどんな景色が見られて、どんな花に出会えるか、今年もそんな出会いを確認して安心するという感じだ。それでも当たり前だが全く同じということはない。ほんのちょっとした季節のずれで様々な違った側面が垣間見れる。
 今日は昨年登った日から二週間ほど遅れている。その分しっかりと季節は進んでいる。登山口に着くと辺りの山はもううっそうと木の葉が茂り、外に降り立つと驟雨のようなエゾハルゼミの鳴き声のお出迎えを受けた。ここももうすっかり初夏の訪れだ。

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 実はこの時期に山を登ると、少しずつフィルムを逆巻き戻しするように、季節が春にさかのぼっていくというのがおもしろい。これがもう少し早い春の時期だと、せっかく春になったのにまた冬に戻されてしまうのがちょっと悔しい。それに引き換え今時期は春に戻されるのだからそれほど苦痛はない。夏だと今度は早回しされて、山頂ではすでに秋の訪れを感じることになる。大雪山などでは春夏秋冬が一気に入り混じって訳の分からないことになってしまうのだが。
 考えてみるとこの時期、無意根に登った記憶はあまりない。おそらく釣りのベストシーズンでもあるので、そちらの方に行っていたのだろう。だからこの時期の無意根がどんな様子であるのか楽しみでもある。また昨年より二週間遅れている分、どれだけ山が変化しているのかそんな興味もある。若い男女の後に入山届を書くと、目的地に「散策」とあった人がいたのはこれは山菜取りだろうか。
 時間は7時20分。去年より随分早い。とにかく今年の初登山、ゆっくりと何とか頂上までたどり着けることが目標だ。
 ザックはもうすっかり古くなってバックルの部分が壊れている。随分世話になったよ。この色々な思い出の詰まったザックでの登山も、これが最後になるかもしれないな。
 最初の少しきつめの傾斜をゆっくり登る。いつの雨のせいなのか多少ぬかるんで滑りやすい。朝早いせいかまだ体が起きていない感じだ。とにかくウォームアップを兼ねて無理せずに登る。昨年特に目についたツバメオモトはどうだろうか。もう花は落ちているようだがまた出会えるだろうか。代わりに白い小さな花が咲いている。それにしてもこの周囲から浴びせられる春ゼミの元気の良い声は、遅い初夏の訪れを喜んでいるかのようだな。

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 なだらかに部分になると多少体も慣れて来て楽になってくる。木の葉が陽射しを遮ってくれるのでさわやかで心地よい。木々の間から雪の少なくなった余市岳が垣間見える。しばらく登っていないが向こうもいい山日和のようだぞ。

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 少しずつ時間が巻き戻されてツバメオモトの花が開いてくる。ああ今年もまたこのきれいな花を見られた。

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それとともにあれほど鳴いていた春ゼミの声がいつの間にか遠のいていた。そして木漏れ日の中にはツツジの花もまだ咲いていた。

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それまで小さな白い花が多い中で、この大きな赤にははっとさせられる。湿地には随分伸びた水芭蕉の葉が昨年より時期が遅いことを告げている。けれど少し雪解けの遅かったところにはまだ白いきれいな花も残っている。

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 実は若い頃、恥ずかしながらこの水芭蕉は実際に見たことがなく、すっかり夏の花だと思い込んでいた。あの歌の歌詞のせいである。「夏が来れば思い出す、遥かな尾瀬、野の香り、水芭蕉の花が~」の歌である。尾瀬の春の訪れがそんなに遅いとは知る由もなかった。昨年カエルが卵を産んでいた水たまりはと見ると、既に卵がかえってオタマジャクシが泳いでいた。なんとか水が干上がる前に無事、蛙に育ってほしいものだ。

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 千尺が近づくと少しずつ沢に残雪が見られるようになってくる。けれどもうすっかり勢いを失って、消えゆくばかりの身にしょんぼりとしているようだ。急坂を登りきるとなだらかな笹原の中の道、千尺に到着するのに二時間もかかってしまった。まあ時間はたっぷりあるのだし急ぐ必要もないのだが。少し残った雪の中、先行の登山者が気持ちよさそうにタバコをふかしていた。
 千尺から少し下った休憩所の木に腰を下ろすと、空気はまだひんやりしていて、ほとぽった体を冷ますにはぴったりだ。無意根を望むと新緑から深まりつつある緑と残雪のコントラストが鮮やかだなと思う。

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途中笹原の隙間からは羊蹄の姿も見えた。

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 しばらくは平坦な笹の中の道を通る。昨年は雪の解けた水でずいぶん苦労した覚えがあったが、今年はもう終わったのか随分楽だ。ただ笹が覆っている部分が時折あって苦労するくらいだ。昨年はもうこの辺りから雪原だったかなぁと思う。その笹原をやっと抜けるとわずかに残った雪が広がっている。

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 2週間という違いは大きい。今年はもう見損なってしまったと思っていた、昨年わずかに出会えたシラネアオイの大きな薄いピンクの花が随所に見られ始める。昨年はまだ咲き初めだったのか。これも時間巻き戻しのおかげだな。

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 無意根の細い尾根に乗ると左側は深い新緑の海だ。右側は多少まだ雪渓が残り、そのすそ野には沼の濃い青が覗いている。

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 左斜面をトラバースしていくと新緑に埋もれかけた赤い屋根の山小屋が見える。あそこから登ってくる登山者もこの天候では多そうだ。

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 そこから少し行くと薄別ルートとの合流点、山頂の壁が間近に見える。

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 けれどここからがもう少しと思うといつも騙される。無意根のあのなだらかな山頂の姿を見ればわかるが、もう山頂かと思ってから暫く歩かされる。人間の心理は不思議なもので、あともう少しと思えば長く感じるものだ。ここはまたのんびりと行こう。
 いよいよ傾斜が緩やかになって這い松の中をくぐっていくようになっても、まだまだこれからと言い聞かせる。

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 すると這い松の間に混じって、白い小さな花がたくさん散りばめられている。これはいかにも花びらも小さく背丈も低いがまがいもなくサクラだ。葉桜にはなっているが満開といってもいいのほどの咲きようだ。昨年も出会ったが山頂のほんの一部だった。今回はこんなにたくさんの満開に近い桜の木に出会えたのである。とすると季節は一か月以上も遡ったことになるか。

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 山頂到着まで何とか4時間オーバーは免れた。それにしてもずいぶん遅い到着だ。山頂には早めについた男女の二人組や薄別から来た登山者の三人、風も無く穏やかであった。

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 途中タバコを吸っていた登山者が少し遅れて到着。聞くと、もともとは十勝の人で単身赴任で来ているという。十勝の多くの山は二ペソツを初め昨年の台風で途中の橋や道が崩れて登れなくなっているとのこと。考えてみればいまだに日勝峠が通れないのだから、林道など言うまでもないことである。いつになったら再び登れるようになるのだろう。こちらのオコタンへの道も果たして復旧することがあるのやら。

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 次々に後続の人が登って来たので、自分はそろそろ一足先に失礼することにする。帰りも相変わらずベースアップせず、のんびりと下った。途中、山すその雪渓の上で、山菜取りらしい人たちが涼みながらなにやら作業をしているようだった。
再びエゾハルゼミの声が戻ってきて登山口に到着したのは午後3時も近かった。ずいぶんのんびりした山行であった。
 

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# by kimamani-outdoor | 2017-06-17 21:00 | 山歩き | Comments(2)

 冬の間預かってもらっていたカヌーを引き取りに行ってから、やや暫く経ってしまった。なんとかこの気候のさわやかな春ゼミのうちに、一度支笏湖へ行ってみなければならないと思いつつも、カヌーの何やらかにやらの準備を思うと、中々決断できずにいた。
 13日、この陽気でしかも風の具合も穏やかだとなれば、今日をおいては他にないと、カヌーを積んで出発することにする。最初は必ず何か忘れ物をする。最低パドルと、アウトリガーさえ忘れなければ何とかなるだろう。今年は我がカナディアン艇の老朽化に備え、秀岳荘で浮力体を購入した。たとえ沈しても船体だけ浮いていれば何とかなるのではという少し安易な考えだ。それにアウトリガーも浮くのでそれにつかまれば最悪岸までつけるのではなど、ひと月前のゴムボートの事故が随分心に引っかかっている。
 というわけで朝早くポロピナイに着いたのだが、最後に4番と6番の竿に毛ばりを結んでやっと準備を完了、出発できるようになったのがもう8時だ。一本は小さなフライでチビアメ用、一本はセミフライを付けた大物用だ。時間がかかった分、湖面に掛かっていた霧も次第に晴れて来て、万が一にも戻って来たチップ船と衝突することもないだろう。

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  準備をしながら戻って来たチップ釣りの方に釣果のほどを尋ねてみると、今年はさっぱりだという。まだ解禁して二週間くらいしかたっていないのになぁ。心なしか湖岸に並んだチップ釣りの船たちに活気がないように見える。
 湖に漕ぎ出して暫くはいつもおっかなびっくりだ。久しぶりのカヌー本体に問題はないか。滑らかな水面に漕ぎ出すとカヌーの下は濃い紺色に変わって底知れぬ深さに変わる。いったいどのくらい深いのかを想像すると怖い。よく沖の方まで小さなカヌーで漕ぎ出している人を見かけるが、自分の足元に果てしない水の暗さが広がっているのによく恐ろしくないものだと思う。というわけで自分はなるべく岸際を漕いでいくので、時折釣り人に煙たがれる。一度ルアーを投げられたこともある。自分も釣り人だから気持ちはわからないではいないが、深い水の中にいる魚たちにはそれほど影響はないようだ。

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 最初の岬で、カヤックからルアーで岸際を狙っている人と会う。湖の上は孤独なのでたまに人と出会うと話しかけたくなる。どうやら釣果は芳しくないようだ。まあこのべた凪ではね。
 カヌーでいいのは水面に何が浮かんでいるのかがよくわかることだ。果たして水面で魚たちは何を食しているのやら。今日は朝冷え込んだせいなのか、あまり浮かんでいるものが見られない。そのためなのかあまりライズめいたものが見られない。ただセミは結構浮かんでいるのが見えて、もうそろそろ魚も食べていても良さそうなものだ。
 あともう一つ良いのは岸際の水底の様子がよくわかることだ。自分が普段釣っているところはどれくらいの水深なのか、かけ上りはあるのか、いきなり深くなっているのかなどなど。これを見ると自分が釣っていた場所が随分的外れであったなどと思うことも多い。静かな水面だが、水中には時折いいサイズの鱒が泳いでいくのが見える。ただあまり水面には関心がないようだ。
 驚いたのは沈んだ倒木の辺りに大きな鱒が群れてゆっくりと泳いでいたことだ。自分もこんなに一度にたくさんの大鱒が泳いでいるのを見たのは初めてだ。ちょっと岸から狙うのは難しそうな距離だ。やはり倒木はポイントなのは実感したが、これは枝に潜り込まれたらバレるのは必至だなどと思う。掛けても手にするのは難しそうだ。
 途中フローターで釣っていた人がいたので話しかける。どうもドライフライで狙っているようだが、時折周囲でライズの様な波紋が見えるがさっぱりダメだという。ライズがあると却って振り回されることもある。特にフローターは移動とキャスティングが同時にできる利点はあるが、視線が低い分周囲が見えにくい。まぁ振り回されるのも悪くないか。
 やがて伊藤温泉の岸壁と、丸駒温泉の建物が見えて来る。今日はいかにも観光日和のようで、丸駒の船が早くから何度も湖面を往来している。この波にはいつも焦らされるが、今日はゆっくり運転してくれているのかそれほどでもない。

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 それにしても今日は湖面にあまりものが浮いていないし、チビアメ君のライズもないし、釣り人もルアーの人がちらりほらり見えるだけだ。大崎の方にも人影は見られない。今日はカヌー日和ということで釣りはまあ措いておこう。この二つはなかなか両立しない。
 大崎を過ぎる頃から、今日は浮かんでいる船も見えず、いかにも人里から離れたような寂しさが漂ってくる。と同時にまたこの辺りに今年もカヌーで来られたことへの有り難い気持ちが湧き上がってくる。
 するとオコタン崎の手前、崖の横のちょっとした入り江に人影が見えた。まさか、釣り人だ。付近にカヌーも見えないし、どうやってやって来たのだろう。近づいて聞いてみると、仲間とカヌーで一緒に来て、自分だけここで降ろしてもらったのだそうだ。仲間はまだ先に行ったとのこと。釣り人は考えることは一緒だナ。状況を聞くとバラシてばかりだそうだ。こんな良さそうなポイントでも同じなんだな。
 以前オコタンまで車で行けた頃、そこからカヌーで苦労してたどり着いたポイントを通り過ぎると、またツツジの赤い花の色が目に入った。ああ今年も無事咲いているようだ。ふと湖面を見るとツツジのらしい赤い花びらが浮かんでいて、鮮やかに湖面に彩を添えていてうれしくなる。
 あれっ、そのほかにモンカゲロウのシャックらしいものも一緒に浮かんでいる。そろそろ羽化も始まったのかなと少し期待する。
 さあ、もう少し漕ぐといよいよオコタン崎が見えて来る。

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 そこを越えると今日の目的地の、自分が良く通っていた釣り場が見えて来る。いよいよ到着だ、風向きのせいなのか、入り江になっている部分にはさざ波が立っていて釣りをするには多少はいいかもしれない。

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 さっきの釣り人の仲間が先に行っているという言葉が少し気になったが、川と違ってまあこの広い支笏湖だ、さしたる影響はあるまい。いよいよ岬を回って恵庭岳の頂上が見え始めて、今年もまた何とか着くことができたと感慨に浸っていると、突然こんにちは、と横から声を掛けられてビックリとした。岬の岸で竿を振っているルアー釣りの若者だった。邪魔してごめんごめんと謝ると、どうぞどうぞと気さくに話してくれた。バラしてばかりでさっぱりだという。ここまで来ても同じか。カヌーは?と聞くとあの葦の茂みの間ですと教えてくれた。あれ、自分が置こうとしていた場所と同じだ。そこには釣り人らしい人の姿も見える。どうしようか、いまさら他の場所に行くのも面倒だし、こんなところで釣り人と出会うのもかえって心強い。ゆっくりと岸に着けて、ここにカヌー置かしてくださいと話しかけると、同じように若いフライの人だった。

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 湖岸にはかなりのモンカゲロウのシャックが浮かんでいたので、モンカゲロウ出てきたねというと、朝方はそれにらしいライズが結構あったという。フライにも出るのだがなかなか鈎掛かりしないのだという。ドライフライにだろうか、見ると沈めてリトリーブして釣っているようだった。

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 どこから来たのか尋ねると丸駒で舟を下したという。その手があったか、一時間は短縮できる。でもちょっと旅館に気が引けるかな。
 自分は岸を歩いてもう少し先のポイントに移動する。途中木の葉の裏側を見るとスピナーらしきモンカゲロウが結構止まっている。これはいい羽化があったはずだ。

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 これが夕暮れともなると舞い飛ぶのだろうか。さらに岸沿いを進むと船の残骸と思しき板片が散らばり、大木が倒れている。これも数年前の大水が出た時のものだろうか。
 目的地のちょっとしたでっぱりにたどり着き、浅いところと深場の境目あたりに毛ばりを落としてじっと反応を待つ。さざ波がティペットの存在を隠してくれるようで有り難い。耳を澄ますと静寂の中に周囲の山々からエゾハルゼミの鳴き声が湧き上がってくるようで、いかにも支笏湖らしい初夏の雰囲気だ。これを味わいたくて遠くまでやってきたんだよ。
 時折それに混じってバシャとかゴボッとかいう鱒のライズ音らしき音が混じって期待感をいやおうなしに掻き立ててくれる。
これはチャンスあるかもと何度かキャストしていると、突然セミフライにパシャッと反応が。まだそれほど時間が経っていないためか集中力が切れていなかった。瞬間うまく合わせられて水面に水しぶきが立った。でもラインを引き出していくほどのパワーはない。大きくはないか、黄色い魚体が水面をのたくっているのが見えた。ブラウンか、ひょっとしてウグイじゃあ、上げてみると30と少しくらいのアメマスだった。それにしても阿寒湖ほどではないが、こんな黄色っぽい魚体のアメマスを見るのは初めてだった。大体いつも見る支笏湖のアメマスは銀色に光っている。それに珍しくお腹が膨れていて随分餌にありついていたようだ。

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 モンカゲや春ゼミを食べていたのだろうか。こんな風にセミフライに食いつくアメマスもいるのだなぁ。ウグイでなくて良かった。
 すると先ほどの若者が移動するのか、カヌーに乗って前を通り過ぎながら良かったですねと言ってくれる。少し気恥ずかしく、大きくないよ、アメマスだよというと、支笏湖は釣れるんですねという。それほど来たことがないのかな。ドライフライだよというと少し意外そうだった。これからだよというと、これからですね、頑張りますと言ってそのまま更に先に進んでいった。自分のような小難しい年寄りと違って、随分気さくな良い若者たちが育っていることだ。

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 まぁとにかく大物でなくても、まずはチビアメ君以外が釣れてくれて良かったかと少しホッとする。
 二人が次第に小さくなって見えなくなってしまった後は、辺りはまたすっかりひっそりとした気配に包まれた。
 さてこれからはもう少し大きいのを狙うとするかと見ていると次第に風が弱まってくる。まだライズは散発だが続いている。けれどちよっと静かな湖面に戻ると魚にはバレバレかなぁ。

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 この時間にカヌーの所に戻って腹ごしらえすることにする。パンでさっと済ませようとしたのだが、車に忘れて来てしまったことに気が付いた。せっかく買ってきたのにやっぱり忘れ物があったか。仕方ない、たまにはお湯でも沸かしてカップ麺でも食べるか。こんな休憩もいいもんだ。
 カップ麺を食べながら湖面を見ていると、時折水面からモンカゲロウが飛び立っていくのが見える。風が収まったので羽化が始まったのだな。こんな日中でも羽化するのだ。してみると昨年夜7時過ぎにモンカゲが飛んでいるのを見たのは羽化ではなくて,きっと所謂スピナーフォールという交尾から産卵に至る行為だったのだ、こんなことの区別もできないなんて情けない。それにしても昨年は羽化していくのが見られなかったのは、注意力が足りなかったのか、たまたま入った場所が悪かったのか、既にみな羽化が終わってスピナーになった後だったのかもしれない。
 そのモンカゲを食べているのかはわからないが大きなライズが時折起こる。時には自分の投げられる範囲にも来ているようだ。これはと飲みかけたコーヒーもそこそこにして、釣りを再開する。毛ばりもセミからモンカゲに切り替えることにする。

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これはスピナーのようだ、産卵中か、単におぼれたのか
 
 何度もライズのあった場所の近くにできるだけそっと毛ばりを置くが、やはりラインの音でおびえるのか、ティペットがやはり見え見えなのか、その度にライズの位置が変わってしまい翻弄される。やっぱり難しいか、まぐれでもいいからとも思うがそう簡単にはいかない。そのうちにモンカゲロウの羽化が次第に多くなってくるのが分かる。水面にふわっと灰色のものが浮かんだと思うと、クリーム色の姿で空に羽ばたいて飛び立っていく。以前見た阿寒湖の数の多さにはかなわないが、結構な頻度だ。これを食わない手はないよ。それでも魚のライズは散発で、他のものも食べているのか、狂ったように食うという風でもない。
 次第に夕刻に近づいてくる。帰りの時間を考えると4時には出発しなければと思うが、何事も起こらないまま時間が過ぎていく。テントでも持ってくれば良かったとも思うが、この人気のない場所でキャンプするのも少し怖い。
 あと少し、あと少しと思っているうちにもう4時半を回ってしまった。さすがにこれはと思ってあきらめて慌てて帰途に就く。朝ほど凪いでいるというわけではないが、それほど波がないのは有難い。今日はやはり一日カヌー日和だ。朝とは違って随分浮かんでいるものが多く、中にはガガンボが目につく。昨年と同じく、まずは大崎までと頑張ってひたすら漕ぐ。やっと丸駒の船が見えてくると一安心。ここからなら最悪歩いても帰れるとやはり昨年と同じように思う。

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 大崎を過ぎると岸際には波もなく、アメマスらしい良いライズが始まっていた。これはやらない手はないぞ。漕ぐのをやめて惰性で静かにライズに接近。結んだままのモンカゲの毛ばり投げるとこれには結構素直に反応してくれる。いじめられてなければニジマスやブラウンもこれくらい素直に食うのかもしれない。中には30センチほどのも混じっていて結構いい引きだ。色はやはり銀色でオコタンで釣ったのとは違っている。こんな岸際のライズでも、岸から立ちこんで釣るとなるとなかなか届かないものだ。最後に十分楽しませてもらった、先を急ぐよ。丸駒はそろそろ夕食やお風呂の時間かな。お風呂の覗き見はいかんよ。
 漸くポロピナィの船着き場が見えてくると、肌寒くなって来たのかチップ釣りらしき人の焚いた火の明かりが見える。
 へとへとになってやっとたどり着いたのが6時半過ぎ、少し追い風に助けられたようだ。
 

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# by kimamani-outdoor | 2017-06-14 19:18 | 釣り | Comments(2)

 昨年やっと再会できたTさんに誘われ、今年もまた道北の猿払川河口域でイトウ釣りをすることになった。昨年よりは一か月ほど早い釣行である。昨年はイトウは釣る人は釣っていたが、やはりいかにも時期が遅かったとの感があった。今回はそのことから少し早い時期に行くことになったようである。その代り天候次第では寒く厳しい釣りを強いられるのは覚悟しなければならない。昨年はTさんからいただいた毛ばりを主に使っていたが、今年はあまりそれにとらわれずに自分流の河口域で主に使う毛ばりで挑戦してみることにする。
 幸いに予報では天候もまずまずで、これまで道北に大雨が降ったという情報はない。昨年のように川がコーヒー色に濁って釣りにならないということはないだろう。

 6日、朝早く出発しゆっくりと安全運転に心がける。かなりの長距離運転だが、ある程度の行程が昨年でイメージで来ていたせいか、それほど辛くは感じなかった。極力普段のドライブの延長と心がけ、途中の景色を楽しみながら向かうことにする。朝食は深川の道の駅と併設しているコンビニでサンドイッチとコーヒー。 この路線はこの系列のコンビニが多いな。
 このあたり一帯の田園風景はもう苗が育ち始めて美しい。旭川を過ぎる頃から少しずつ稲の育ちが遅れて、やがてまだ田植えの始まらない田んぼに変わっていくのも、だんだん気候の厳しい地域に入っていくのだという予感をさせる。


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 昨年は気が付かなかったが、途中廃業したレストランや店舗が目に付く。以前の賑わいを知っているだけに、これも人口減少の余波なのかと寂しくなる。なぜか少し楽しみだった塩狩峠のパーキングエリアのトイレは、去年と変わらず相変わらず景色の中に溶け込んでいて、トイレであることを思わせない落ち着いた建物だ。峠の反対にある三浦綾子さんの「塩狩峠」の記念館にも寄りたかったが、今回も先を急ぐ。

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 名寄を過ぎ、美深から音威子府へと向かうと、景色が田から牧草地へと変わり始める。長閑といえば長閑な景色だが、やはりこれも気候の厳しさを物語っているのだろう。途中ピンネシリの道の駅に休憩。周囲の山からはエゾハルゼミの声が響くのは道央と変わりないが。人気のないパークゴルフ場の芝にはきれいな小さな花が敷き詰められていた。ここでおしゃべりや歓声が聞こえる時はあるのだろうか。

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 中頓別から浜頓別へ。ぽつりぽつりと見える廃屋を見ると、昨年と同じく過疎化が進んでいるうら寂しさを感じさせる。人けのない寿公園に展示された、真新しく装われたSLとジェット戦闘機がいかにも場違いな印象を与える。海に近づくにつれて次第に猛風が吹きすさんで車を揺らす。やはり道北に近づいてきたせいかと、浜頓別のコンビニの店員に聞くと、今日は特別強いのだと聞き少し安心する。
 どこまでも遥かに続く牧草地を眺めてながら、やがて道の先には二基の風車が勢いよく回っているのが見えて来ると、今年も再びやって来たぞという感慨が沸き起こってくる。
 二時過ぎに河口付近の駐車場に着くと、Tさんはまだ来ていないようだ。土手から眺めると、川が風で茶色く波立って、釣っている人影は見えなかった。川を眺めている人がいたので聞いてみると、あまりに風が強くて竿が降れないので収まるのを待っているという。やはり道北の釣りにはいろいろな気象条件の制約があるようだと納得して、少し上流に行くと、対岸ではいくつも竿を出している人の姿が見える。多少は風も弱く、風向きも追い風で何とか釣りにはなるのだろう。これはやるしかないと対岸に渡って川沿いの道を進むと、釣り人らしい車があちらこちらの脇に止まっている。たぶん皆、自分と同じく遠方からやってきて、竿も振らずにすごすごと引き返すわけにはいかないのだろう。
 準備を終えて多少の期待感をもって川岸まで行くと、この辺りはまだまだ川幅は広く、その少し上流から急に狭くなっている。

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 年配のルアー釣りの人がいたので、まずは情報収集だと早速話しかけるといろいろと教えてくれた。函館からやって来た方で何日かやっているがまだ釣っていないとのこと。いつ帰るのかと聞くと、別にいつまでいてもいいんだが、木曜から天候がねという、その笑った顔が少し寂しげに見えた。自分も似たようなものだが。水の色はタンニンの混じったらしい赤褐色で透明度が多少低く見えたが、いつもこんなもんだという。その人の話によると、産卵の終わった荒食いする5月にイトウを釣るのは良くないと冗談ぽく言われたという。まぁそんな時期にイトウを釣るのはちょっと可哀そうというか、卑怯ということだろうか。まぁ釣り人はむしろそんな時を狙って釣ろうとするものだろうが。
 だが、ということはもう荒食いする時期は終わったというようにも受け取れる。
 お礼を言って少し川を下ると、またルアーの人とすれ違ったので様子を聞いてみると、朝方60くらいのイトウと出会ったきりだと誇らしそうにも残念そうにも言う。うーん、釣れただけいい。してみると朝が良かったということか。
 さらに進んで引き上げてきたルアーの人に聞いてみるとだめだったらしく、下流にいるフライの人が三本上げたのでその人に聞いてみろと少し悔し気に笑う。三本も、と驚いて釣りながら先を急ぐ。さらにその途中で会ったフライの人に聞いてみると、今来たばかりで40ほどだが早速一本上げたという。フライの方が分があるのか?いいなぁ、ちょっと気合が入って来るなぁ。
 この上流では後ろに高い木もあまりなく、バックが取りやすそうで、みな立ちこまず岸から釣っている。フライの人はラインバスケットを持ち歩いての釣りだ。自分は持って来てはいないが、移動する時ちょっと不便だけで何とかなる。
 やっとそのフライの人の所まで下って行くと、丁度引き上げようとしているところだった。ちょっと呼び止めて三本も釣ったんだってというと、立ち止まって話してくれた。細身のフライで早く引くのが良かったという。それほど沈めてはいないとのこと。やはり釣った人に話を聞くのが一番だ。
 自分もまねてやってみる。なんとかこの川で最初の一本を取って早く楽になりたい、最初から少し焦り気味の気持ちも混じって竿を振ってみても、そう簡単に釣れるはずもない。
 何が違う?もういい時間は終わってしまったということか。次第に夕闇が迫り、辺りに釣り人の姿は見えなくなってしまった。自分もそろそろと、上がりがけに会ったルアーの若い人と話しかけると、朱鞠内湖をやってからこちらに来たがどちらも駄目だったという。
 果たしていいのか悪いのかどちらなのだろう。それでもイトウ釣りに来た人はみんな、こちらが話しかければ大体快く教えてくれる。もちろんライバル心はあるはずだが、同じ目的で来ているという連帯感や、同じようにそう簡単には釣れないという苦労が、お互いの心を繋いでくれるのかもしれない。

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 河口の駐車スペースに戻るとTさんと思しき車が止まっていた。川を見ると夕闇が濃くなってきても、まだ波立つ川に立ちこんで釣っている人の姿が見えたので、声をかけてみるとやはりTさんだった。自分も再び準備し直して、一緒に竿を振ると、風はまだまだ強い。
 午後三時頃に着いて釣り始めたが風のせいもあるのか全くだめだという。自分も上流での聞いた話や、自分の様子なども語った。
 今日は道中の疲れもあり近くの道の駅で早めの車中泊。シャワトレのついたトイレがすぐそばにあるのはうれしい。駐車場には同じように釣り人のものと思われる車が何台も止まっている。夕食は近くのコンビニ仕入れに行くが、同じようにイトウ釣りの人が多く訪れると見えて、随分酒のつまみになりそうなものが豊富に置いてあり助かる。有り難い時代になったものだ。

 次の日は朝四時出発。こんなに早くに釣りに出かけるのは昨年のイトウ釣り以来。夜中、風の音や雨音を聞き、久しぶりの車中泊はなかなか寝付けなかったが、昨年と違いしっかりとした登山用の寝袋を持ってきたので暖かく過ごせた。
 風はやや収まって海には朝日が輝いている。


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  こんな日の出を見たのも久しぶりのことだ。いつの間にか朝日などすっかり縁遠いものになってしまった。
 まだ眠気が覚めやらぬまま釣り場に着くと、既に何人もの釣り人が川に立ちこんでいる。さすがにシーズンだ。この時間でも出
 遅れたか。でも昨年の経験からいうと焦ったところでそれほど変わりはない。

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 また海との境目あたりに多くの釣り人の姿が見える。これは後からまた聞きの話だが、どうも海から上がってくるイトウが小休止している姿が見えるらしいとのこと。
 川面を見ると昨日ほどは波立っていなくて、まずまずの良い条件のようだ。
 のんびり支度を終えて昨日の場所に入ると、沼と繋がった流れの部分に多くの釣り人が入っている。何かいい情報でもあったのだろうか。まだ子供と思しき鹿が4頭、水でも飲みに来たのか河原で戯れている。そういえば昨日、ずいぶん道路には「鹿飛び出し注意」の標識があったな。一度ぶつかったことがある身としてはやはり怖い。
 ウミアメ以来の9番ロッドはずっしりと重たくて、振っていると肩が痛くなる。中には時折シングルハンドを振っている人も見かける。これも後で聞くところによると、この河口付近はもともとの川幅を広げたようで、以前の川の部分以外は結構浅くなっている。実際に勝負する場所は元の川の深い部分で、その川幅はそれほど広くはないのだそうだ。だからそこまで立ちこめばシングルハンドで十分勝負できるのだそうだ。
 そんなこともわからず、ただ重いロッドを力任せに振っているのもちょっと愚かだ。おまけに昨日のフライの人のアドバイスに従って早く引くものだから、右手の人差し指の先がラインで切れて来て痛い。後でTさんに話すと指ぬきの様なものをいただいて助かった。こういうものもちゃんと釣具屋で売っているのだそうで、日ごろからリトリーブの釣りに慣れない自分には初耳だった。

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 しかし魚の反応の方はいつまでたってもなかった。狙っているところが浅すぎるか、深すぎるのか、毛ばりが違うのか、できるだけ変化させてみるが変わりない。そのうちに風向きが横から後ろに変わり、キャスティグそのものは楽になって来たのだが。
 仕事前に来ている地元の人もいるらしく、そのうちどんどん引き上げていく。またそれに代わって新たな釣り人も入ってきては、随時釣り人が入れ替わって人数そのものは多少減った程度だ。しかし見ていても誰一人としてイトウを上げているらしい釣り人は見えなかった。あれほど昨日上流での釣果が聞かれたのにどうしたことだろう。
 7時になると「野バラ」らしき音楽が周辺に流れ、一人の釣り人がさあ朝飯の合図だよと、笑いながら言って上がっていく。そんなことにもお構いなく、ただガムシャラに振り続けていても事態は一向に変わりなく、そのうち川の流れがほとんどなくなり、すっかり潮が止まったようだった。
 今日は昨日魚が上がっていた上流に午前中のうちに入ってみたかったので、それを機にTさんに言って、もう一度上流をやってみることにした。
 昨日と打って変わって上流の対岸を見ると釣り人の姿はほとんど見えない。たぶん風向きが変わったせいだろう。こうも釣り人は風向きに敏感なものか。
 とりあえず釣り人が見えないので勇んで川岸に向かう。潮が引いた川は昨日とは打って変わって、深い元の川筋が姿を現している。

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 こんなところから魚のつきそうな場所もわかるというものだ。ここまで潮の影響があるのだな。水の色の濃い部分を中心に狙っていくと、昨日流したところがちょっと的外れだったなぁとわかったりする。しかし昨日三本上げたらしい場所でもまったく魚の反応はない。たまにウグイの様な小さな魚が毛ばりを追って、ふっと浮かび上がってくるくらいだ。今日は魚はどこかに行ってしまったんだ。やはり釣れるタイミングを外してしまったのか、潮が引いていてはだめなのか、などと色々と迷いが生じて来る。
 あきらめて一応まだやっていない、さらに上流の元の川の状態のままの川幅の狭い流域を試しに行ってみることにする。この辺りからやや足元がぬかるんで歩きにくいが、それでも釣り人の歩いた跡でしっかりと道は付いていた。この川幅だと湿原の中河川といった趣で、7ー8番のダブルハンドロッドは過剰のタックルのように感じる。ラインの部分だけで十分なくらいで、いちいち投げるたびに巻き取ったラインを、ランニングラインまで出さなければならないのが面倒だ。それでもここも川岸にはあまり木が生えていないので、なんとかオーバーヘッドで投げられるのは有難い。この川幅でこの静かな流れでは、ロールキャストなどで水音を立てただけで魚は散ってしまうだろう。時折ウグイと思われる小さな魚が追ってくる。まあこの川の大きさではね。仕舞にはこうなったらウグイでもいいから釣れてくれという心境になる。
 ゆったりと広がった川を上流から大きく下流に向かって投げて、ただ惰性でゆっくりと引いていた時だ。何かが引っ掛かった。何だろうと合わせるまでもなく、いきなりリールが音を立てて逆転してラインが引き出された。いったい何が起こったんだ、イトウか?それにしても今まで体験したことのないスピードと重さだ。巻き取っても巻き取ってもすぐまたラインを引き出される。必死にラインについてい行きながら、この河原のない川のいったいどこで取ろうなどと考えているうちにも、どんどん下流へとラインを引き出して一向に弱る気配はない。これはとても取れないかもしれないという思いがよぎる。川幅が狭いので遊ばせるスペースもなく、ただどんどんラインを引き出されるばかりだ。これ以上は下がれない、イチかバチか何とか竿を持ち応えようとした瞬間、ふと重さが消えた。やっぱりという気持ちとともに一気に力が抜けてその場にへたへたとしゃがみこんだ。
 見るとバッキングまでかなり出されて巻き取るのに随分と時間がかり、リーダーの先は3Xの結び目の所から無くなっていた。場所にもよるのだろうが、正直これまで自分の体験では3Xのティペットで取れなかった魚はいなかった。それほどの大物を釣ったことがないともいえるが、またそんなことを期待もしていなかったのである。ただ小さくともイトウの顔が見たかっただけなのだ。大物のイトウを釣り上げようとしてバラした失敗談や苦労話を本では読んでよく知ってはいたのだが、実際こういうことなのだということが身に染みてわかった。たぶん自分の持っている生半可なタックルや釣り経験をすべて出し尽くしても、たぶんこの魚は取れなかったなと素直に納得できた。これは大物のイトウを狙って、ちゃんと準備した者だけが手にすることができるものなのだろう。
 時間は約束のお昼をすっかり過ぎていた。興奮冷めやらぬまま急いでTさんの所へ戻ると、ちょうど昼の上げ潮のころに、後からやって来た旭川の人が60前後のイトウを立て続けに三本上げたそうだ。あれほど釣れる気配もなかったのに、やはりチャンスの時というものがあるようだ。自分の話をすると、Tさんは3X?とあきれたような顔をしていた。イトウ釣りの人は0Xから-2Xといったリーダーを使うのだという。自分は恥ずかしながらマイナスなどというものが付いたリーダーの存在を知らなかった。またTさん自身は20ポンドのラインをティペットとして使っているのだという。ティペットが切れるか、ラインが切れるか、あるいは竿が折れるかそんなところだろう。とても自分の様なものに大物を釣る資格はないと思わされた。
 でもいきなり大きいのが来なくても、小さくて良かったのになぁ。大物イトウ釣り師のロマンをちょっとうかがい知ることのできた出会いだった。
 そのあとは暫く釣りをする気が起こらず、カップラーメンを食べながらヘンリーズフォークでの釣りの話で花が咲いた。そこには別な意味での釣りの難しさと魚の素晴らしさがあった。ただ気になったのは最後5、6年前にTさんが行った時にはあまり釣れなくなっていたのだという。川のコンディションが変化していたらしい。それがたまたまその年だけのことなのか、継続的なことであったのかはわからないが。もう一度ゆっくりと行ってみたいと思っていた自分としては、何とか前者であって欲しいと願うばかりだ。
 時間はそろそろ4時も過ぎ、そろそろ釣り再開と行くかと重い腰を上げる。もうすっかり風も収まって多少暖かみも感じられるくらいで、道北としては随分恵まれた天候なのだろう。静かな水面には時々ゆっくりと大きな波紋が広がっている。

 
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 何かやる気の出て来る雰囲気だが、ああいうのを掛けた人はなかなか見かけない。
 自分が最下流、その上にTさん、さらにその上にはシングルロッドの人が釣っていたが、そのシングルの人が大きくはないが早々とイトウを掛けた。この場所でフライで実際にイトウが釣れたのを見たのは初めてだ。やはり他人が釣るのは羨ましく見える。なんとか自分たちにも一本と思ったが後が続かない。
 ゆっくりと背びれ、次に尾びれを出してライズする魚を見るのは心臓に悪い。いかにも良いサイズであることがわかる。もしかしてと思いつつ、その少し上流に毛ばりを通してみるがやはり反応はない。自分の運は既にイトウらしき大魚を逃してしまった時に使い果たしてしまったのかもしれない。
 そうこうしているうちに次第に夕暮れが近づいてくる。見ると朝方やってきた鹿がまた現れてきている。

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 考えてみるともうかれこれ15時間近くも川べりに立っていることになる。こんなに長い時間釣りをしているのも久しぶりで、流石に疲労感が漂ってくる。自分より少し年上のTさんもさすがに疲れたのか珍しく自分より先に上がった。
 水面はあくまで静かで穏やかに流れ、偏向グラスを外した目にも次第に闇が覆ってくる。自分も疲れた、終了だ。

 3日目 昨夜はさすがに疲れたせいか目が覚めることもなく、ぐっすりと眠りに着くことができた。それでも4時前には目が覚めるのだから不思議だ。天候は雨も予想されたが何とかもって、風も穏やかで小雨が時折混じる程度で、何とか釣りにはなりそうだ。今日は帰路の長さを考えて昼までの釣りと決めていた。あまり期待はしなかったが、自分にもほんの少し幸運が訪れてくれないかなそんな気持ちで出発する。
 着くと昨日より潮が満ちているのかかなり川の幅が広がっていて、同じように既に幾人かの釣り人が川に立ちこんでいるのが見える。

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 どうすれば釣れるのかもわからず、さしたる戦略もなくキャストを始める。上流にはTさん、そのさらに上には仲間らしい3人が話をしながらキャストしている。時折漏れ聞こえて来る内容からすると、夜通し車を走らせてやって来たらしく眠たげだ。随分この川に通っているらしく、その中の一人はシングルハンドで、これまで大物を含め随分挙げているようだった。
 いつまでたっても誰にも当りは訪れないままの時間が経過する。そのうちその3人は別な場所に移動したようだった。やはりいい時間が訪れるまで待つしかないのかそんな思いが浮かんでくる。とにかく8時まではやってみようとキャストを繰り返したが誰にも何事も起こらなかった。
 Tさんに言って最後にもう一度上流の方を攻めてみることにする。やはり今日も対岸の方にはあまり釣り人は見えない。基本的にはこちら岸の方がいいポイントなのだろうか。今日は6番のスィッチロッドのフルラインで攻めてみることにする。その方がいちいちランニングラインまで出す手間が省けて、こちらの岸際ぎりぎりまで攻められそうだ。
 ラインの届く範囲としては十分のように感じたが、いかにも昨日感じたパワーに対して貧弱なタックルのように思えた。やはり面倒でも7ー8番のダブルハンドにするべきだったかと後悔する。
 川幅が広げられた部分は早々に引き上げ、昨日当たりのあった改修されていない川の部分を更に上流まで行ってみることにする。果たして釣り人の踏み跡はどこまで続くのだろうか、しばらく歩いていくと原始の湿原の川の雰囲気が漂ってくる。ああこれはいかにもイトウが住んでいそうな川だなぁとそれだけでワクワクしてくる。

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 けれども昨日はきっととても運が良かったのに違いない。自分はその数少ない運をふいにしてしまったのだろう。今日は何の反応のないまま時が過ぎていく。今年もイトウの顔を見られなかったか。ただこれほどイトウ釣りに魅惑されて、どんどんのめり込んでいく釣り人の気持ちの一端が多少わかった気がした。いつかまたここに十分な装備でとことん付き合ってみたい、そんな気持ちにさせられた。
 Tさんの所に戻ると既にもう上がって道具を片付けていた。いかにも疲れたといった表情でやはり何の反応もなかったとのこと。
自分も同じだというと残念そうだった。Tさんはもう一度6月末に挑戦するとのことだ。その時の幸運を願い再会を約束して一足先にこの地を離れた。
 浜頓別までのはるばる広がっている牧草地を見ていると、短い期間の釣りで、イトウの顔も見られなかったが、釣りという非日常の中にどっぷりと浸かった、夢の様な幸福な時間だったように思えた。多少感傷的になりながら、少しずつこの地が去りがたいものになってくるのを感じ始めていた。
 


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# by kimamani-outdoor | 2017-06-09 09:39 | 釣り | Comments(2)

 やっと陽射しが戻ったので久しぶりに支笏湖を訪れる。前回来たときは曇っていたせいか、エゾハルゼミの鳴き声はあまり聞こえなかった。今日はややまだ気温は低いが、鳴き声はもう全開に近く、いよいよ支笏湖もいい季節が訪れたと感じる。湖に着いてみるとべた凪の鏡状態だが、それはそれで初夏らしい穏やかさで心地良い。

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湖面を見るとすでにチビアメ君のライズも始まり、また沖には少し大きめのアメマスと思われる群れのライズがさざめいている。

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 この状況ではまず大き目のサイズは難しそうなので、チビアメ君を狙うことにする。大物を狙っても苦しむだけだ。この時期はチビアメ君が遊んでくれるので、大物が毛ばりをシカとしたとしても何とか楽しいのだ。
 着くと岸際にはたくさんの稚魚やトゲウオが群れて泳いでいて生命感があふれている。

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 チビアメ君は岸際に浮かんだ虫を見つけては浮かび上がってはついばんで沈んでいく。水面には何か浮かんでいるようなものもあまり見えないので、小さなものを食べているのだろう。風が無いせいか蝉も湖面にはあまり落ちていないようだ。
 小さなハエ系の毛ばりを結んでキャストすると、チビアメ君といえどもラインが着水した音で勢いよく逃げていく。だからライズのあった場所に投げてももうそこに魚はいない。チビアメ君の動きを予測して、ライズの先に投げて魚がやってくるのを静かに待つしかない。
 するとさっそく毛ばりが沈んでくれる。合わせるとラインがたるんでいたせいか、少しタイムラグがあって小さな重さが竿に掛かった。やはりラインがたるむと、合わせがかなり遅くなるなぁと改めて実感する。気を付けなければ。
 15センチほどの白い斑点のチビアメが前後左右に逃げまどいながら水面に上がってくる。久しぶりだなぁ。今年も出会えたね。こんなに小さくてもなぜか楽しい。

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 沖のライズにはもう少しというところで届かない。ひょっとして釣り人の投げられる範囲を計算してライズしている?とまで考えてしまう。
 そのうち少し風が出てくるとちゃんと風の流れに沿って並んで、流れて来る虫にライズしている。この辺りは小さいのも大きいのも変わりないのではないかなぁと推測する。
 あとは風のせいなのか、湖の水温差による水の流れのせいなのか、水面の細かいものが集まっている、そんな場所でぴちゃぴちゃやっている。時には大きいのが混じるのかもしれない。

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何匹か釣っていると多少はサイズアップするが、それでも20センチといったところだ。沖でライズしている奴はもう少しあるはずなんだけどなぁ。チビアメ君との遊びに飽きてくると、もう少しサイズアップしたくなってくる。遊んでもらったのにゴメン。

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時折大き目のウグイが泳いでくるが水面には興味を示さないようだ。これはちょっと有り難いが、久しぶりに50センチくらいのニジマスが回遊してくるのを見ると、さすがにどっきりする。しかしこの小さな毛ばりでは、じたばたあがいてもどうしようもないだろう。ただじっとそのまま泳ぎ去るのを見守るだけだ。
 ちょいと色気を出して、大き目の毛ばりに替えて大物でも狙おうかとも思う。少し深場の崖近くの岸際に毛ばりを落としじっと待っても見るが、そう簡単には反応するはずもない。まだまだ蝉も鳴きだしてそれほどの期間ではないので、積極的に関心を示す時期ではないのかな。モンカゲロウでも羽化してくれば、これは水面での出来事なので事情が変わってくるかもしれない、などと考えているうちに、いつのまにかチビアメ君たちのライズはなくなっていた。こんなライズさえも一日の上で消長がある訳だ。午前中のライズはそれまで天候が悪くて、なかなか食べ物にありつけなかったことの反動だったのかもしれない。

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チビアメ君たちが遊んでくれたのもきっといい時間だったのだ。まずは今年もチビアメ君たちと出会えたことに感謝しよう。

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# by kimamani-outdoor | 2017-06-05 20:17 | 釣り | Comments(0)