ようやく藻岩山の登山道の雪もほとんど消えた。あのズボズボと埋まった雪道があっという間になくなって、懐かしい土の道が続いている。それにしてもこの足元の軽さは何だろう。裏を返せばこれほど雪の道は知らず知らずと登る支障となっていたということだろう。

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 またいつものルーティーンのように春が訪れる。毎年毎年よく飽きもせずに同じ春を楽しめるものだと思うが、決して色褪せない喜びがそこにある。マンネリではないかとも思えるのだが、むしろこの年になると、今年もいつもの場所でいつもの花に出会えた、同じようにまたこの同じ姿を味わえたという喜びに変わるようだ。
 スキー場からの登山口から登り始めると、もうすっかりエンレイソウが頭をもたげ、エゾエンゴサクの花が咲きだしている。ふと笹の間を見るともう無くなったと思った福寿草が花開いていてうれしくなる。無事だったんだね。

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 途中ナニワズの花が顔を出している。今まで笹の花だと思っていたのが、ちゃんと名前が分かってその存在を認識できた。名前は大事だ。木々からも芽が伸びて所謂早いものは春もみじといった姿も見せている。

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 やっと尾根に出るとそこにはこぶしの花が開き始めている。このこぶしはずっと冬の間中見守り続けていたものだ。冬の間の寒さの中少しずつ花芽を付けて次第に膨らんで、やっとその白い花びらを表そうとしている。こぶしは何といってもやはりこのころが一番いい。枯れた木々の中にぽっと浮かび上がったその白い色。また堀辰雄の「辛夷の花」を再読する季節となった。これが花盛りとなるとちょっと白が多すぎると思うのは人間の身勝手な願望かな。

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 雪のすっかり解けたスキー場のスロープを下って行くと、恵庭岳が遥々と望まれて見晴らしがよく、藻岩山と言ってもそれなりの高さを感じさせてくれる。もう少しするとこの斜面も数々の草花に覆われるだろう。

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 スキー場の管理事務所に着くと植えられたクロッカスなど植えられた花々が早々と春を謳歌している。まだ雪の消えたばかりの、しなびたような斜面を降りてきた後ではこれもまた目に一幅の色彩を添えてくれる。
 さらに駐車場から坂を下るとちょっとした公園の柳の木の若草色が日増しに増えてくるのが分かる。見上げるとくすんだ山肌にはあちこちに白いものがちりばめられている。あそこにもこぶし、またあちらにもこぶし。少しピンクがかった部分はもうじき桜が咲くのだろう。

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 29日、またいつものように小林峠からのルートをたどってみる。ゴミだけは以前のままだが、新しいトンネルができたせいでこちらの道路はほとんど車が通らず、全く別世界のように、春の静寂さがすっかりあたりを覆っている。時折サイクリングの人たちがハーハー言いながら急坂を上ってくる。こんなのんびりとした道なら自転車に乗るのも楽しそうだ。
 いつものアズマイチゲらしき花を探す。今年も無事でいてくれただろうかと探すと白い蕾が見えた。藻岩山のほかのところではあまり見かけないのだが、登山者たちも大切に見守ってくれているのか荒らされた形跡もなく安心する。

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 前回に来たときはすっかり雪に覆われていて、登るのに随分難儀して途中であきらめたのに、登山道にもうほとんど雪は残っていない。早いものだ。こちらは北側に属しているせいか道端の福寿草もこれからといった趣だ。南側の斜面へ回り込んでいくとこちらはもうすっかり春らしくエゾエンゴサクの花が咲き乱れて、こぶしの花が開き始めている。

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 いつもなら車の騒音が下からわき上がてくるのだが、すっかり静かだ。登山者も数えるほどらしく途中ほとんど出会わないので、いかにも長閑な春の山道を堪能できる。鳥たちのさえずりもあちらこちらから聞こえて忙しそうだが、なかなかカメラの中につかまらない。
 登山道は一度ある程度登ってしまうと、あとは多少のアップダウンだけのちょっとした散策路といった趣だ。

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もう果たしてスミレが咲いているだろうかと期待したが、さすがに早すぎたのか姿は見当たらない。やっと見つけたのが一輪。よく咲いていたなぁ。

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 後はいつものこぶしの木まで会いに行く。この藻岩山の中でも一番ひっそりと咲いている印象の木だ。今年の咲き具合はどうだろうと、ちょっとした小さな峠を越えると見えた。まだほんの小さな白い蕾がちりばめられていただけだった。やはりここは一番春が遅いんだな。


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ちょっとした下り坂にはまだかなりの雪が残っている。ここから旭山からの登山道まではあと少しだが、もう引き返し時だろう。帰りには鳥たちの恋の駆け引きに出会う。

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出会った登山客は三人、朝閉じていたアズマイチゲの花のいくつかはきれいに開いていた。静かな静かな山道だった。

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# by kimamani-outdoor | 2017-04-30 19:15 | 山歩き | Comments(0)

24日 昨日は晴れてはいたが風が冷たかった。今日は気温が多少上がるとのことで、そろそろ虫の状態はどうかと気になって支笏湖に出かけてみる。湖岸に出るまでに早速アカゲラのお出迎え。春を迎えて恋の季節らしく鳥たちの動きも随分活発化してきたようだな。

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岸に着いてみると8時過ぎ、予想はしていたがまたしても鏡のような湖面。それでも岬の付近ではルアーの人が竿を出してキャストしている。表層の水温を測ってみると7℃。前回よりは一度上がったか、単に場所の違いかもしれない。

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 昨年だとそろそろ虫たちの動きも活発になってきていたはずだが、相変わらず前回と変わりない。これはまたしてもお手上げの状態。竿の準備はしてみたが、しばらくは湖の様子を見ながら虫が動き出さないか待つことにする。炊事道具や本でも持ってくれば良かったかなぁ。
 まぉそれにしても風不死岳が湖面に鮮やかに映って、なんとも春らしい長閑さだ。上を見上げると枝には若芽が膨らんでいる。釣りが厳しいのは辛いが、この春の朝の新鮮な空気と鳥の声が聞こえる静けさは、これはまた何物にも替えがたい。
 そんなに春の雰囲気に浸っていると、ちりんとちりんと鈴の音がしてこんにちはと挨拶された。見るとフライ竿を抱え、いかにもフライフィシャーマンといった出で立ちの釣り人である。自分のよれよれの帽子とベスト、補修だらけのウェーダーとは大違いだ。
 どうですかと聞かれたのでまだ竿を振っていませんというと、同じようにこれではねぇという表情。話を聞くと長く支笏湖には通っているとのことで随分詳しく、支笏湖の釣り談議に花が咲いた。支笏湖では、魚のことだけ考えていたらやっていられないということや、決まったこの釣り方で釣れるという方法はなかなか見つからない、という考えには大いに同感。
 どんな釣り方で釣るのか尋ねると、主にウェットやストリーマーなど沈めて釣ることが多いとのことで、フライボックスを見せてくれた。びっしりときれいにフライが並べられて、よく釣り雑誌で紹介されているような整然とした美しいフライボックスで、これまた自分のを思うと穴にも入りたい気持ちだった。フライの巻き方も適当なら並べ方も乱雑。買ったフライはそのままケースに入れっぱなしでベストのポケット。とても人には見せられない。
 そうこう話をしていると何度か鏡の湖面に波紋が広がり、中には届きそうなものがあったが、この状態ではラインの風を切る音でも一瞬にして魚は逃げ去りそうだ。何を食べているのかはわからなかったが、なかなかいいサイズらしいものもあった。
 足元を見ると何か見慣れた虫が浮かんでいた。掬ってみると昨年も見たトビケラだ。昨年のこの時期ならもうたくさん浮かんでいたのだが、今年はやっと初めて見つけた。これから時期遅れでどんどん出てくるのだろうか、それとも今年は羽化が少ないのだろうか何とも言えない。

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 相変わらず腰を上げることもなく、少なくとも一時間以上は時が経過した。全く初対面の人なのにこんなに話ができるのも釣りの厳しい支笏湖だからこそ、といえるのかもしれない。こんな時間もとても貴重に思える。
 しばらくしてようやくかすかな風が吹き始め、さざ波が立ち始めたのでそろそろ釣り開始。その方は岩付近を回遊してくる魚を狙っているらしくその辺りにキャストしている。

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 自分はもう少し様子見で少し周りを見回っていると、同じようなトビケラを数匹発見。どうかこれからどんどん羽化してほしい。そして小石の陰にヨシノボリの様な魚影と小エビを発見。ちょっと水中の生き物も活性化してきたような気配だ。そのうち微風から少しずつ風が強まって波が立ち始めた。

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 そろそろ自分も釣りを開始するか、さてどういう釣り方にするかと思案したが、折角ライズを見たのだからと、蜂を模した毛ばりで今年初のドライフライで挑戦してみることにする。少し見づらいが波の合間に毛ばりがゆらゆら揺れてなかなかいい感じだ。ひょっとしたら出るかもしれないと、かすかな期待を抱きながらキャストしていく。毛ばりを見ていると久しぶりに集中力が高まっていくのを感じる。しかしそう簡単に出るはずもない。セミの時期だってそうなのだから。いつも集中力の切れたころに突然毛ばりが沈んだりする。
 そうやって毛ばりを見つめながらキャストを繰り返していると、明らかに波とは違う水面の高まりが毛ばりの付近で起こった。ひょっとして出たかと思って合わせると、一瞬重みがかかったがすぐに軽くなった。早かったのか遅かったのか。ラインがたるんでいたのか、毛ばりの状態が良くなかったか、不思議と悔しさはあまりなかった。こんな時期にドライフライに反応してくれたうれしさの方が大きかった。その後は一層集中力が高まって竿を持つ手が緊張したが、再び水面が盛り上がることはないまま、風が強まって波が大きくなった。まぁ2度はないか。支笏湖でのチャンスは大体一度きり。
 その方は一足お先にと名前を聞くこともなく、そのまま先に上がってしまった。この辺りにはよく来るということなのできっとまた会えるだろう。さてもう少しと思って竿を振ると、強まった風で自分を釣ってしまった。今日はこれまで、それを潮に自分も引き上げることにする。

 25日 昨日の夢よもう一度と再び支笏湖を訪れる。予報ではひょっとして風が強すぎるのではと心配したが、湖岸に着くと、強すぎず弱すぎずの程よい風と波。これはチャンスだと昨日とは違い急いで準備を始める。もう今日はすっかりドライフライでやるつもりだ。空もやや薄曇りでこんな釣れそうな感じはめったにないぞ。

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 最初から毛ばりを見つめる目と竿を持つ腕は、いつ出てもいいようにと緊張している。こんな集中力はいつまでも持ちそうにないな。ところが昨日と比較して釣り人の姿は見えない。さすがに昨日の人は現れない。お休みか、別のところへ行ったのか。2日続けて同じところに来るなんてなんとも愚か者だ。
 もうそろそろ始まってもいいのではと思う虫たちの活動は、まだ気温が低いせいか相変わらずあまり見られない。水面に浮いているものもほとんどない。水温を一応測ると7℃弱。そんな1日くらいでは変わらないか。
 もう少し気温が上がってくれば可能性もあるだろうと、なんとか緊張感を維持しながらキャストを続ける。しかし一向に魚の反応はないし、虫たちの動きもない。波だけはいいんだけどな。
 その波も時間が経つにつれてだんだん収まって静かになって来た。風が収まると暖かな空気が柔らかく辺りを包み込み、鳥たちのさえずりが聞こえ始める。これはこれでいいんだけど、なかなか釣りとは両立しない。

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水辺で餌を探しているらしきキセキレイ


 そのうち波がなくなるとライズが見られるようになる。いったい何を食べているのだろう。そうなると今度は釣りが難しくなる。水面に浮いたティペットが気になるなぁ。なんとか沈めようとリーダーシンクを付けたり、ラインを引っ張ったりして見るが効果はもう一つというところ。さすがにそういつまでも集中力は続きそうにない。
 水分補給しながら一休みして湖を眺めると、やはり穏やかな春を感じる。素直に味わわなくちゃ。それでもやはりライズを見つけると気が気ではない。結構岸よりしているものもある。昨日のと同じ奴でもう警戒しているだろうか。たぶんこちらにも回ってきて下から毛ばりは見ているはずだとは思うのだが。

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 やっと昨日のトビケラを発見。でも数匹ではね。昨年のような集中した羽化は今年はないのかもしれない。次に飛んできたカメムシを発見。体に止まられるのはちょっと嫌だが、もっと出て来てほしいとも思う。大きな蜂も飛び回っている。いつドライフライに出てきてくれてもおかしくないのになぁ。そうは易々といかないのが支笏湖だ。
 そうなると昨日久々に出たのを外したのは大きかったと思う。めったにないことなのに。今日になって残念な気持ちが湧き上がって来た。いけない、いけない、あまり支笏湖熱に浮かされないようにしなくては。
 早く風よ吹いてこいと湖面を見つめると南西方面から波が近づいてくるのが見える。いいぞいいぞと準備をしていると自分の付近も波立ち始めて冷たい風が当たり始めた。

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 さあ始めとキャスティングを開始すると、ランニングラインが風で縒れてうまくシュートしない。やっと風が吹いたら吹いたでこれだ。まあ波がある分そんなに飛ばなくても大丈夫だろう。そのうち風はどんどん強まってきて黒い雲が上空を覆い始める。おいおい程度ってていうものがあるぞと思っていたら、湖面を轟かす激しい音が。雷だ。これだけは御勘弁、そそくさと竿を畳んで逃げ出すとすぐに雨が降り出した。


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# by kimamani-outdoor | 2017-04-25 20:19 | 釣り | Comments(2)

 寒い日が続いたが今日は少し暖かめの日になりそうだ。風もあまりなさそうだし、ひょっとしてそろそろ支笏湖にも虫たちが羽化し始め、魚のライズも始まるのではなかろうか。
 ちょっと風の冷たさを感じたのも朝のほんの一瞬だった。湖面はやはり予想通りさざ波が時折立つが、ほぼ鏡のような完璧な凪。釣りにとっては必ずしも良いとは言えないが、虫の羽化にはいいのではないだろうか。それをきっかけに水面に対する魚のスイッチが入ってくれないかな。表層の水温を測ってみると6度。まぁこの時期としてはこんなもんだろう。カモ君達ものんびりと泳いでいるなぁ。

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 初めはシンキングラインを使ってみたが、この鏡状態では投げた途端に魚が散ってしまいそうだ。フローティングラインに替えて水面下にしばらく毛ばりを置いて、静まった頃合いを見て引いてみることにする。もし羽化がありライズでも始まればすぐにドライフライに切り替えてみるそんな計算だ。
 しかしそれも無駄なあがきとでもいうような静かな湖面。羽化が始まるまではお手上げだ。まあこんなのんびりした気候なのだからそれはそれでいいか。しかしいつまでたっても羽化は始まりそうになかった。今年は時期がずれているのだろうか、まさか昨年だけっていうことはないよな。
 そのうちその湖面に小さなさざめきが現れ始めた。あれは魚だよなぁ、稚魚でも何か食っているのだろうかと水面を見ると、本当に小さなミッジというか、シャックというのか抜け殻のような透明なものがたくさん浮かんでいる。たぶんこいつを食っているのだな。

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 たまに近づいてくると姿が見え5㎝ほどの大きさだ。泳ぎ方するとイトヨのようにも見えるが、何かの稚魚かもしれない。戯れに自分の持っている一番小さな18番くらいの毛ばりを投げてみるが、それでもずっと大きいようで食べられないようだ。浮いているものを見ると26番くらいの大きさに見える。さすがにそんな毛ばりも結ぶティペットも持ち合わせていない。それにしてもこんな小さな魚でも水面に出てくるのを見ると、いよいよドライフライで勝負できる時期が近づいていることを感じさせてくれる。
 一度だけ沖の方に大物らしき波紋を見かけた。じっと見つめているとさらに、その先に何を食ったのかわからないが口元が顔を出すようなライズがありドキッとさせられる。ああいうのは心臓に悪い。一応もう一度沈む毛ばりに付け替えてその方角を引いてみてるが、全く届いていない。もうどこかに泳ぎ去っただろうか。
 そのうちに恵庭岳の辺りからヘリコプターが飛んできて、そのまま飛び去るのかと思っていると湖面でホバリングを始めた。次第に水面に近づいていくと、湖面から水しぶきが舞いあがるのが見える。あんな近くでホバリングするのは怖そうだなぁ、落ちたら終わりだよ。どうやら水難救助の訓練らしく何かロープのようなものを投げ降ろしている。

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 そういえば最近山岳救助のヘリが墜落したこともあったなと思い出すと、見ているこちらも緊張する。これから水の事故が増えるのだろう。自分のような遊んでいる人間を、命がけで助けてくれるなんて申し訳ないことだ。これからの虫たちの羽化を期待してその場所を後にした。

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# by kimamani-outdoor | 2017-04-21 15:18 | 釣り | Comments(0)

 やっと本格的な春が訪れて来て、我が家の福寿草やクロッカスも咲き始めた。うん春だ春だ。さて支笏湖へ行くべきか。まあ春になったからと言ってそんなに急に釣れるようになるわけでもないしな、とグズグスしながらいつもの北岸へ向かう。何だかんだ言って行き慣れた場所だ。
 駐車場に着くと何やら釣り人とは思えないような走り屋らしき車が一台だけ。山からはクマゲラのドラミングの音や小鳥のさえずりが聞こえる。この声を聴くのは一年ぶりだ。またこの季節がやって来た。冬場も支笏湖を訪れなかったわけではないが、いよいよ自分にとって本当の支笏湖シーズン開幕はやはりこの芽生えの時期だなぁと思う。
 湖岸にたどり着くとほどよいほどに波立っていていい気配だ。湖畔の枯れた木々にもどこかほんのりと緑が滲み出ているように見える。

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 また当たり前のようにこの春を迎えているが、あと幾度支笏湖でこの季節を迎えられるものやらわからないのだから、その幸せをその都度ちゃんと味わわなければ。
 湖岸の横を見るとテントが張られ、焚火の煙が上っている。もうこんな時期からキャンプとは気合が入っているなぁ。


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 上に載って遠投できそうな岩を探すと何かいつもの景色と違っているような。そうだ水が引いているせいで普段沈んでいる岩が顔を出しているからだ。水が引いただけでこんなに景色が変わって見えるものか。いつもの場所に着くと普段は水に沈んでいる平らな岩が顔を出していて丁度良い。
 この上ならバックも取れて良い具合にキャストできそうだ。風は強くないが巻いているのか、右から吹いたり左から吹いたりと安定していない。それでもそれほど支障をきたすほどではない。久しぶりの支笏湖でのオーバーヘッドキャストはラインが伸びていくと気持ちが良い。
 まさかいきなり来たりしないよな、などという最初のうちの妄想は暫くたつと遠のいていく。そんな、たまに来て釣ろうなんて虫が良すぎるよ。まぁそういう訳だ。いつもの支笏湖で安心するようながっかりするような。
 状況によってはドライフライでも投げてやろうかと心づもりしていたが、虫も見えずライズもなく当てが外れてしまった。今日は辛抱して沈めて釣り続けよう。
 ルアーの人が二人後ろを通り抜けていく。どこかでやって来たんですかと尋ねると、さっぱりダメだったとのこと。まぁいつもの会話だ。
 しばらく投げても反応がないので、少し浅場のところへ移動してみる。途中でテントの住人の若者が焚火のところに出てきたので、釣りはしないのと尋ねるとテントの方を指さした。すると若い女の子が出眠そうな顔でてきて、今日はまだしていないのと人懐こそうな笑顔で教えてくれた。この娘の方がするらしい。そんな時代だ。まぁ釣りしなくったって十分楽しいか。
 さてこちらは風が弱いので虫が浮かしたりしていないだろうか。こちらも水が引いてバックも取りやすくなっているので、結構遠投できて気持ち良い。結構いいところまで飛んでいるんだけどなぁ。やっぱり魚が岸よりしていないのか、活性化していないのか、毛ばりが悪いのか、いつも答えは出ない。
 前の深めの場所に戻ってもう一度試してみるかと戻っていくと、もうキャンプの荷物が畳んで置いてあった。
 ひょっとして魚が回って来ないかなぁと期待しながらキャストしているが一向に当りすらない。
 まあ最初としては(最初だけじゃないが)こんなもんだろうと、引き上げていくとナニワズの花を発見。

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 君が支笏湖の一番咲き? 恥ずかしいが以前この花を笹の花だと思っていた。キャンプの跡は、と小姑よろしく見ていくと、ゴミ一つ残さずきれいに片づけられていた。失礼ながら人は(車の)見かけによらない。立派な若者たちであった。
 
 

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# by kimamani-outdoor | 2017-04-16 20:45 | 釣り | Comments(2)

茫漠とした石狩川河口域

 久しぶりに元同僚のNさんを訪ねて、一緒に石狩川河口の親船まで訪れることにする。やや肌寒いが素晴らしい青空が広がっていて車を走らせることが楽くなる。石狩市の中心が移ってからこの辺りは随分さびれた様子が漂っているが、住んでいる人には失礼なことだが、こういう雰囲気は静かで落ち着いていて好きだ。もともとはこちらの方が開拓の歴史も古く町としての歴史があるのだろう。
 船場町から石狩川渡船場跡に向かう。

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 ここからは浜益から増毛に至るまだまだ白く雪に覆われた山系がはるばる見渡され、振り返ると背後には手稲山も聳えている。そこから銭函から積丹に向かう海岸線が連なっている。Nさんによると橋ができる前は、ここから親戚を訪ねてよく川を船で渡ったという。冬は氷の上を渡って怖かったとのこと。
 もっと時代をさかのぼれば北海道の開拓時代を描いた本庄陸男の「石狩川」の中には、確か危険を冒して厚田から川を渡って開拓使に向かう場面があったと記憶している。そんな歴史を振り返りながら川を見渡すと、そのコーヒー色のゆったりとした流れは、渡るには対岸までかなりの川幅があるように感じられる。
 川べりでは今時期はあまり釣れないのか、釣り人が一組だけ桟橋の上で釣り糸を垂れている。さらに進むともう一人車を背にのんびり釣り竿を立てて魚信を待っている。

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 カレイを狙っているそうで、バケツには一匹いいサイズのカレイが泳いでいた。けれどウグイばかりでカレイはさっぱりだという。それでもこんないい天気の中、のんびりと腰かけて魚信を待つというのは、いかにも長閑な感じがして自分もその景色の中の一員でいたいものだと思う。
 こんな茶色の濁った川では毛ばりで釣るべくもないし、サケ釣りは川では御法度だといっても、旭川や千歳の鮭もここから上っていくのだと思うと、今頃はサクラマスが群れを成して泳いでいくのではとその姿が想像された。
 せっかく来たのだからと一度車に戻って、ビジターセンターまで移動して河口を目指すことにする。町のはずれに随分由緒ありげな古い寺があるのは、やはりこの地域の歴史が古さを物語っているようだ。行ってみるとビジターセンターはまだ開いていず、駐車場は閑散としていた。そこからは車椅子でも行けそうなくらい立派な隙間のない木道も敷かれていてが、敢えて河岸の砂の混じりの道を行く。

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 辺りは一面どこまでも砂地の中の草木が枯れて、茶色く殺伐としていたが、ハマナスの丘というくらいだから、初夏が近づけばピンク色の美しい花が咲き乱れるのだろうか。
 真っ青な空には強い風にあらがって雲雀たちが羽をしきりに動かしながら囀っている。今のところこの風景の中で春の生命感を感じさせるのは、この雲雀と越冬した風に飛ばされている蝶だけのようだ。

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 途中長尺のカメラを持った人と出会った。ノゴマを初めとして、ここではこれからいろいろな鳥に出会えるのだという。今日はこの雲雀だけだったとのこと。こうやって季節とともに鳥を追い求めて撮影していく、というのもなかなか一途な良い生き方だなぁと思う。
 風に吹かれて雲雀の囀りを聞きながら1キロほど河畔を下ると、ようやく海岸線に打ち寄せる白波が見えてくる。

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 そこに広がる海は石狩川の水のせいかどこまでも茶色に染まっている。さすがに注ぎ込む水量が並々でないと実感させられる。ここも夏には海水浴客で賑わうのだろうか。ただ今は荒涼とした景色がどこまでも広がっているだけだ。これがこんな札幌の街までわずかな距離の浜なんだからなぁ。
 随分歩いたので腹が減って来た。そろそろ街に戻って昼食にしようか。
 
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# by kimamani-outdoor | 2017-04-10 17:03 | 散策 | Comments(0)